2023年01月19日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[米国市場 ディーラー ロシア産タラバガニの代替品は簡単に見つからない]
アラスカ州ブリストル湾の2年連続の禁漁とウクライナ情勢による禁輸措置の対象となったタラバガニについて、米国市場ディーラーは、その供給と販売実績の代替となる製品が簡単に見つかるものではないと指摘している。
アラスカ州漁業狩猟局は、資源状況の悪化を理由に、2年連続となる2022年-2023年管理期間のタラバガニの禁漁措置をとった。
米国大統領バイデンは、ウクライナ情勢から2022年3月、ロシアからの水産物の完全輸入禁止を発表、同年6月にこれが発効された。
輸入禁止発表から発効までの猶予期間、米国ディーラーは、供給補充のため、ロシア産タラバガニの調達を急増させ、発効前月に約4,000トンを輸入した。
アラスカ州漁業狩猟局は、さらに史上初めて、2022年-2023年管理期間、ベーリング海のオピリオの禁漁措置もとっている。
2022年は昨年2021年と比較して稚ガニの資源加入が良好となっているが、商業漁業の対象となるまでに4年間かかり、この間、問題の解決が期待できない。
今年2023年、アラスカ州のコディアックとウェストワードのバルダイ漁業のTACは約3,300トンとなっている。
また、2022年6月に設定された、東アリューシャン列島のイバラガニ漁業のTACも約1,300トン程度で、しかも、この内50%程度は漁獲済であり、当該操業は2023年4月で終漁となる。
今年2023年、約2,300トン程度のイバラガニの生産が見込まれており、ディーラー企業の代表者は、これが、ロシア産タラバガニの代替製品の第1候補にはなるが、数量的には、到底、潜在的な需要を満たすものにはならないとの観測を示している。