2023年01月20日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[“ロシア漁業会社”スーパー・トロール“シリーズ船建造プロジェクト10隻中6隻が停止状態]
ロシア漁業最大手”ルスカヤ・ルイボァプロムシェレンナヤ・カンパニヤ “(Русская рыбопромышленная компания「ロシア漁業会社」)が“投資クオータ”を利用して進めているスーパー・トロール漁船シリーズ建造プロジェクト10隻の内6隻が、ウクライナ情勢の影響で停止している。
「ロシア漁業会社」は2025年末までに、10隻をロシアの造船所において建造することが義務付けられているが、この内6 隻の進水時期が2030年から2031年までずれ込む可能性が指摘されている。
ロシア漁業会社はスーパー・トロールのモデル船としてトルコ造船所で“ウラヂミル・リマノフ”(Владимир Лиманов)を建造し、2021年から本格操業を開始させている。
同社は“ウラジミル・リマノフ”と同タイプのシリーズのスーパー・トロール漁船をさらに“投資クオータ”を利用して10隻揃える計画をしている。
このシリーズ船は全長108mで、年間1万5,000トン以上のスケトウダラのフィレ、ミンス、すり身を船内で生産し、残滓はミールとオイルに完全に処理され、漁獲物の最大100%を付加価値製品化することを可能にするプラントが設置される。
2022年10月には、シリーズの“カピタン・ヴドヴィチェンコ”(Капитан Вдовиченко)が北クリール海域で試験操業を開始している。
しかし、一連の制裁措置により、コンポーネントするエンジン、プロペラほか、主要な舶用機器の調達が困難となり、後続の6隻については、完全な再設計が必要な状態にあるとされている。