2023年08月17日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協 原口聖二
[2023年漁期 猛烈な南北格差で進捗するロシア漁業者カラフトマス操業(8月15日)]
今年2023年漁期、ロシア漁業者によるカラフトマス操業は、猛烈な南北格差、“北偏”で進捗している。
この10年間余り、当該資源来遊の“北偏”傾向が指摘されてきた。
全ロシア海洋漁業研究所ヴニロのデータによると、同年8月15日までのカラフトマスの漁獲量比較において、カムチャツカ地方の41万6,000トンに対し、北海道に隣接するサハリン州は2万4,500トンとなっている。
サハリン州の内訳は、東サハリン沿岸が1万8,000トン、北クリール沿岸4,500トン、西サハリン沿岸1,000トン、そして南クリール沿岸1,000トンで、特に、この南クリール沿岸が、例年と比較して最悪の進捗と評価されている。
直近奇数年2021年同期の南クリール沿岸の漁獲量は1万トンであり、1/10の生産量にとどまっている。
これまで同様、当該資源の来遊状況について、専門家は、海水温の上昇を指摘している。
なお、公益社団法人北海道さけ・ます増殖事業協会、北海道定置網漁業協会、そして一般社団法人北洋開発協会(北海道機船漁業協同組合連合会内)は、北海道の水産業にとって重要な漁業と位置づけされる“サケマス漁業”を発展させるために、資源動向を把握することが特に必要で、そのため、海域をまたがって資源が来遊する北海道に隣接するロシア沿岸での最新の操業状況に強い関心をもつことが重要であると認識し、当該資源の効率的再生産、合理的利用のための行動計画に資することを目的として、2020年から会合をもち、この“北偏”に関する情報交換を行ってきた経緯がある。