これで何回目になるのかもう数えていないが、今年に入って始まった年金改正法案反対のストライキが今日も行われた。今回は、主に公共交通機関で今まで以上に徹底したストライキが全国的に打たれ、デモ行進も各地で行われた。ストライキが大学内に直接的に引き起こす事態は、ストライキ参加者たちの一部(学生とは限らない)による建物の封鎖だ。今日は前回以上に多くの建物が封鎖されたが、幸い私が授業を行う建物は閉鎖されず、平常通り授業を行うことができた。ストライキの影響によると思われる欠席者も二、三名にとどまった。大学の近辺の学生宿舎や民間アパートに住んでいる学生たちは交通機関のストライキに影響されることはもちろんないが、郊外から電車通学している学生たちも何人かいる。彼らも出席していた。おそらく昨日から大学近辺の友人、知人、あるいは親戚宅にでも泊まっていたのだろう。ストライキだろうがなんだろうが、授業に真面目に出席する彼らには感心する。特に今年の三年生は熱心に授業を聴いてくれるのでこちらもはりあいがある。
他方、ストライキの余波の影響も被った。明後日パリでの研究集会に発表者として日帰りで参加する予定だった。もちろんTGVの切符も予約してあった。ところが、先ほど、SNCFからストラスブールへの復路のTGVが運休となったとメールが届いた。最終列車で戻る予定だったので、それより早い時間帯に代わりの列車がないかすぐに探したが、午後にはひとつもない。発表は午後三時からの予定だったし、午前中は日本からオンラインで参加する発表者のために確保されているから、前々日になってプログラムを大幅に変更するわけにもいかない。ストラスブールからのオンライン参加に切り替えることにした。TGVの運賃は全額返済される。こういう直前の予期せぬ(いや、もしかしたら……という予感はあったが)事態にもすぐに対応できるのはハイブリッド方式のいいところである。それに、正直なところ、発表直前まで自宅で発表の準備の仕上げができるのはありがたくもある。