飛騨地方にも、ようやく青空が戻ってきた。
明け方は少し雲が多かったが、程なく雲も切れて、爽やかな秋の空が広がっていった。
田んぼに近づくと、ひんやりとした空気から稲の香りが漂ってくる。
籾が熟してくるこの時期だけの香りは、どことなく懐かしさが感じられる。
久しぶりに洗濯をし、湿っぽい布団も干して、気分も爽やかになった。た。
傍らではユキも、気持ち良さそうに体を干している。
しばらく野良仕事をしなかった畑は、草が茫々で境が判らなくなってしまった。
収穫が終わったトウモロコシや、キュウリ、トマトなどの後始末も残っていたので、取りあえず枯れた蔓や茎を抜いて片付けた。
裏山を見回っていたら、大雨でえぐられたところが何ヶ所もあった。
ここは地盤が固いし、ほとんどが広葉樹の自然林なので安心しているが、最近は想定外の災害が起こるので過信は出来ない。
きのこ栽培のほだ木の周囲も、笹やつる草、茗荷などが、いっぱい茂っていた。
どう云う訳か、なめたけのほだ木が伏せてある所に、びっしりと冥加が生えていた。
冥加は抜き取り、笹やつる草は鎌で刈り取って、秋の収穫に備えた。
今年は雨が多かったし、これだけ手入れをしておけば、豊作が期待出来そうだ。
日が落ちると急に気温が下がり、夕方の散歩は肌寒いというよりは寒さを感じた。
いよいよ秋本番がやってきたようだ。