リカルド・ロドリゲスの記憶

記憶で書ける昔のサッカーネタは、元浦和レッズ監督リカルド・ロドリゲスの記憶です。ロドリゲスはJ2徳島を長く率いており、そこで4-2-3-1の組織を徹底させていたことを評価されて、2021年に浦和の監督に就任しました。就任前、徳島を率いていたロドリゲスのサッカーを見ましたが、アンカーの岩尾をDFラインに時折下げて3バック気味にして、両SBを思い切って上げるスタイルでした。

浦和監督になったロドリゲスは、当初ベテランの阿部勇樹にアンカーを任せていました。当時は、ロドリゲスが要望した、小泉や明本などJ2から獲得した若手を育てていく時期で、新人だった伊藤敦樹や大久保智明らにも出番を与えてチームの若返りを図っていました。世代交代期だったので思うように勝利はできなかったものの、若手が次第に育ってきたという意味ではロドリゲスの成果はありました。

ようやく、2021年のシーズン途中で酒井宏樹、ショルツを獲得したことで、J1でタイトル争いができるメンバーが揃った印象があります。このショルツ獲得で、ベテランの槙野が弾かれる世代交代を生みましたが、結果にも表れて天皇杯のタイトルにつながります。ACLに出られることと、タイトル獲得と結果が出たことで、来季のロドリゲスへの期待は大きかった記憶です。

2022年シーズンは、ロドリゲスが徳島でキーマンにしていた岩尾を、徳島から獲得して自らのサッカーを完成させようとしてきました。この年のACLはコロナのため変則開催で、1次リーグはタイで集中開催でした。そのため、シーズン序盤から週2試合の強行日程が続くあおりを受けた浦和は序盤からなかなか勝利を収めることができず、一時は残留争いに巻き込まれる低迷を強いられます。

確かに、岩尾の起用でチームを落ち着かせる狙いは理解できましたが、ロドリゲスの時代は流れが悪くなるとなかなか選手交代などで打開することができず、ズルズルと惨敗する試合も目につきました。明本が急造左SBで機能するなど発見もあった時代ですが、安定してリーグ戦で上位につける戦いはできないままでした。ACLで準決勝をPKで勝ち、決勝戦を翌年に控えたタイミングで、ロドリゲスは解任されて浦和を去ることになります。

後任のスコルジャ監督が、ロドリゲス時代の遺産をうまく活用して良い戦いを見せましたが、ロドリゲス自身はACLの決勝で指揮が執れないことをかなり残念がっていたようです。若手を育てる手腕はなかなかのものがありましたが、ロドリゲスはチームを安定して勝たせるところまでは行けなかった印象を受けます。