全国で相次ぐ特殊詐欺の被害防止に向け、政府内で高齢者名義の銀行口座のATM利用を制限する案が検討されていることが7月26日、分かった。
名義人が65歳以上で、取引が1年以上ない預金口座はATMを使えないようにする案が出ている。
詐欺グループが高齢者をだましてATMから現金を振り込ませたり、高齢者からキヤツシュカードをだまし取って現金を引き出したりする被害を減らす狙いがある。 ’
複数の関係者によると、警察庁がこのほど、銀行業界にこの案を示した。
高齢者は現金の利用頻度が高く、利便性が低くなることに不満の声が出ることも予想される。
銀行業界には顧客の利用を制限することやシステム改修の負担を懸念する意見もある。
政府は今後、犯罪対策閣僚会議で銀行業界を巻き込んだ特殊詐欺対策を取りまとめる予定だが、業界内の調整には時間がかかる見通しだ。
一部の銀行では年齢などを条件に高齢者のATM利用を制限している。
福岡銀行は、70歳以上でキヤツシュカードや通帳によるATM振り込みの利用が3年間ない人を対象に、ATMの振り込みを制限している。
山形銀行は70歳以上の人の名義で、ATMで1日当たり30万円以上の現金引き出しを2年以上していない預金口座を対象に、現金引き出しを1日当たり30万円までに制限している。
一方、ATMの利用制限を設けていない銀行があり、警察庁は銀行業界に一律の対応を求めることにした。
ただ、銀行間で意見の違いがあることから、警察庁案がそのまま実現するかどうかは見通せていない。
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