少子高齢化が進む中、加齢や病気で体が衰えた高齢者でも旅行しやすい環境を整える自治体の取り組みが活発化している。
歩くのが難しかったり、食べ物をのみ込みづらかったりしても楽しめるよう対策。
誰もが気兼ねなく旅行に出られる「ユニバーサルツーリズム」を掲げる政府も、こうした動きを後押ししている。
75歳以上の後期高齢者は、団塊世代が全員この年齢に達する2025年には人口の約2割を占める。
観光庁によると、2014年のデータを基に算出した1人当たりの年間国内宿泊旅行回数は、60代が平均で1・41回なのに対し、70代以上は1・00回に落ち込む。
長野県は2018年から、山道でも使える「アウトドア車いす」といった器具を導入する観光施設に補助金を出してきた。
車いすのまま自然を体験できるモデルコースの企画をするなど高齢者も訪れやすい環境整備も進める。
障害のある人向けの旅行を事業者に助言できる専門人材の育成にも信州大と取り組んでいる。
兵庫県では昨年4月、全国初のユニバーサルツーリズム推進条例が施行された。
車いす対応トイレの設置や、のみ込みやすいように調理した「刻み食」の提供などを支援する。
県の担当者は「人口減少で高齢者は大きな潜在市場」と2025年大阪・関西万博も見据えた需要開拓を目指す。
観光庁は本年度中にも高齢者や障害者が旅行で必要とする情報の分析調査を始める。
担当者は「訪日客の増減は為替に左右される可能性があり、ユニバーサルツーリズムの促進で国内旅行市場を維持するのは重要だ」と話した。
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