75歳以上の人の医療費窓口負担について、年収240万円以上で383万円未満の人を現在の1割負担から2割に引き上げる案が厚生労働省内で浮上していることが10月9日、分かった。
対象は十数%に当たる約190万人。
菅政権として新型コロナウイルス感染拡大の状況を見つつ、全世代型社会保障検討会議などで議論し、年末までに決着を図る構えだ。
高齢者に負担増を求める「痛み」を伴う改革だけに、年収の線引きを巡っては政府、与党内や医療関係団体にも異論があり、調整を本格化させる。
75歳以上の人は約1700万人(2017年度)。
医療費の窓口負担については現在、年収約383万円以上の「現役並み所得」がある人は3割となっており、約7%の約115万人いる。
それ以外の人は1割負担だ。
同じく高齢者を対象にしている介護保険制度は所得の上位20%が2割負担となっており、厚労省は医療費もこれに合わせたい考えだ。
80%の人は現在の1割負担を維持する案だ。
厚労省の暫定的な試算では、負担割合が1割から2割になる人が医療機関の窓
ロで支払う額は、年間3万5千円程度増える。
その分、公費や保険料などから支払われる給付費を1千億円規模で削減する財政効果がある。
急速な少子高齢化の進展で、医療や介護、年金といった社会保障給付費は伸び続け、国の財政を圧迫している。
このため政府は昨年、全世代型社会保障検討会議を立ち上げ、制度改革を議論。
一定の所得がある75歳以上の人の負担割合を2022年度までに2割へ引き上る方針を決め、どこで線を引くかが焦点になっている。
財務省は、財政健全化のために引き上げ対象をさらに広くするべきだとの立場。
医療関係団体は、負担を引き上げると高齢者の受診控えを招くとして対象を狭めるよう求めている。
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