重い遺伝性の病気が子どもに伝わらないように受精卵の段階で調べる「着床前診断」を巡り、日本産科婦人科学会(日産婦)は、検査を行う対象疾患を成人後に発症する病気にも拡大する最終報告書をまとめ、6月26日の記者会見で説明した。
これまで成人までに亡くなることの多い病気に限定して認めてきたが、それ以外の病気も審査の対象となる。
内規を改定した後に運用を始める。
着床前診断は、体外受精させた受精卵から一部の細胞を取り出し、特定の病気に関わる遺伝子異常の有無を調べる検査法。
異常のないものを子宮に戻すため 「命の選別につながる」と懸念する声もある。
学会は、医療機関から申請があった場合に1例ずつ審査し、流産を繰り返す習慣流産を除けば、重篤な遺伝性疾患でのみ実施を認めてきた。
「重篤」の定義は「成人になる前に、日常生活を著しく損なわれたり、生存が危ぶまれたりするような状態」としてきたが、「原則、成人になる前に」と変更することで、成人以降に発症する病気でも例外的に検査を受けられるようにした。
夫婦が検査を希望する場合は、医療機関側か日産婦へ申請し、日産婦が意見書を出す。
(日本産科婦人科学会の最終報告書ポイント)
- 成人前に亡くなることの多い病気に限定していた着床前診断の対象を成人後に発症する病気にも拡大
- 対象は、現時点で有効な治療法がないか、または高度で患者へのダメージが大きな治療が必要
- 今までに審査経験のない疾患での申請は、実施の是非について専門学会に日本産科婦人科学会への意見書を求めた上で判断する
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