厚生労働省は11月2日、社会保障審議会年金部会を開き、高齢者の就労の多様化と、それに合わせた年金制度の在り方について議論した。
60歳以降も働き続けた場合に受給できる厚生年金額を、複数のケースを用いて初めて提示。
例えば70歳で退職して年金をもらい始めた場合、月約33万円(夫婦世帯)と試算した。
現在の年金制度の基本となっている60歳退職、65歳受給開始では約22万円で、約1・5倍の額。
政府は現在65歳までとなっている継続雇用の義務付けを70歳まで引き上げる方向で、未来投資会議で本格的な検討を始めている。
2020年の通常国会にも高年齢者雇用安定法の改正案を提出する考えだ。
高齢者にできるだけ長く働いてもらい、支え手になってもらう狙いで、公的年金の受給開始可能期間も現在の60~70歳ではなく、70歳超も選択できるよう検討を進めるととになっている。
ただ66~70歳での繰り下げ受給を選択する人は現在、受給者の1%台にとどまっており、どの程度理解が広がるかは見通せない。
この日示されたケースは2014年度の年金額や賃金をベースにした夫婦世帯の年金額で、このほか(1)65歳退職、65歳受給開始で約23万円、(2)60~65歳まで短時間勤務をして退職、65歳受給開始で約22万円などとなった。
委員からは70歳超に受給開始可能期間を延ばすことに異論はなかったが、「寿命は分からないので(繰り下げ受給は)ギャンブル性を伴う」「60歳を超えると賃金が大きく下がる。 60歳後半の人も含めて賃金水準を上げなければならない」といった意見も出た。
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