国際オリンピック委員会(IOC)は6月10日の理事会で、2032年夏季五輪・パラリンピックの開催地としてオーストラリア東部のブリスベンを7月21日の総会に提案することを決めた。
IOC委員の投票で承認される見通しで、大会11年前の決定は、2017年に2028年ロサンゼルス五輪開催を決めたのに続き、異例の早さとなる。
同国開催が決まれば、1956年メルボルン、2000年シドニー両大会に続いて3度目。
理事会に答申した将来開催地委員会は、会場の84%が既存または仮設の計画や、7~8月の平均最高気温が20~23度となる温暖な気候を高く評価。
この時期は南半球にあるオーストラリアでは冬に当たり、今夏の東京五輪で懸念される暑さ問題とは無縁で「選手のパフォーマンスにおいて理想的」とした。
IOCが1月に実施した世論調査で同国全体、ブリスベンともに開催支持率は66%に達したとのデータも示した。
2032年夏季五輪にはインドネシアやハンガリーなども関心を示していた。
招致熱の冷え込みを背景に、有力都市の「一本釣り」とも思える今回の提案は、選考の透明性を巡って議論を呼ぶ可能性もある。
2月の理事会で最優先候補地に選定後、ブリスベンとの協議を経て開催条件を満たしたと最終判断した。
記者会見したバッハ会長は、政府や州など行政の支援や世論の支持を選定の要因に挙げ「非常に魅力的だ」と述べた。
一方で札幌市が目指す2030年冬季五輪は開催地選定で進展がないことを指摘され、バッハ氏は「焦つていない。 まだ9年の猶予がある」と説明。
「水泳のプールは世界中のほとんどの場所にあるが(スキーの)滑降を開催できる山は多くない。 綿密な調査や検討が必要だ」と違いを強調した。
IOCは招致熱の冷え込みを受けて選定の仕組みを大幅に変更し、決定は原則7年前としていた規定を撤廃。
興味を示す候補と個別に対話しながら、有力都市を早めに確保する戦略に転じた。
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