広島大大学院先端物質科学研究科の藤島教授(集積回路工学)の研究グループと情報通信研究機構、パナソニックは、テラヘルツ波(300ギガヘルツ帯)と呼ばれる高周波数の電波を使い、デジタル情報を毎秒100ギガビット以上の速さで無線送信できる技術を世界で初めて開発した。
米サンフランシスコである国際集積回路学会で2月2、3の両日に発表する。
実用化されれば、「4K」「8K」と呼ばれる高画質映像や、インターネット用のサーバーなどを預かるデータセンターと顧客間の送受信は光ケーブルを使わず無線でやりとりできるようになる。
約2時間の映画は1秒程度で送信できるという。
テラヘルツ波は1秒間に1兆回程度振動する電波。
公衆無線LANサービス「WiFi」など現在の情報通信に使われている電波より周波数が高い。
より多くのデジタル情報を速く送信できると期待されているが、大容量のデータを毎秒100ギガビットで効率よく送信する技術は確立されていなかったという。
藤島教授たちは、スマートフォンなどにも使われる集積回路「シリコンCMOS」を活用。
限られた周波数で一度に多くのデジタル情報を送ることができる直交振幅変調という方式で、テラヘルツ波のうち300ギガヘルツ前後の周波数を使って毎秒100ギガビット以上の速さで送信することに成功した。
開発した集積回路は2ミリ×3ミリと小型。
安価なシリコンを使用するため量産が可能で、一般向けの無線による超高速通信の普及が期待できるという。
藤島教授は「今後、受信技術なども開発し、シリコンCMOS集積回路を使った無線通信システムの実用化につなげたい」としている。
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