重い腎臓病の胎児にブタの腎臓を移植する「異種移植」の臨床研究を巡り、東京慈恵医大や国立成育医療研究センターなどのチームは10月4日、実施計画を有識者から成る同大の特別委員会に申請した。
国の審査を経て2026年内の最初の移植を目指す。
動物の臓器や細胞を人に移植する異種移植が実現すれば国内で初めて。
異種移植は臓器提供者不足を解決する切り札と期待され、海外では人の臓器の大きさに近いブタの心臓や腎臓などの、人への移植が実施されている。
東京慈恵医大の横尾教授は「治療法がなく、移植を待っている方がいる。 社会の受け止めを聞きながら進めていきたい」と話している。
計画では、腎臓の形成が不十分で尿が作れない「ポッター症候群」の胎児2人に、ブタの胎児から取り出した約2ミリの腎臓を移植する。
ブタの腎臓に胎児の血管が入り込んで大きくなり、出生直後から尿が生産できるようになる。
一時的な「橋渡し」を想定しており、出生から数週間後、透析ができる体重になれば移植した腎臓は取り除く。
動物を移植に使うことへの倫理的な課題もある。
同大は再生医療や生命倫理などの有識者による特別委員会を設置した。
安全性や倫理面の配慮に問題がないか審査する。
手術は出産予定日の4週間前。
特殊な注射器で母親の腹部越しに胎児の背中からブタの腎臓を移植する。
出生後は背中にチューブをつなぎ、尿を外に排出する。
移植した臓器が異物として認識され免疫の攻撃を受ける「拒絶反応」が懸念されるが、チームは胎児の臓器では拒絶反応が起きにくく、免疫抑制剤もごく少量で済むとしている。
チームは東京都内で10月20日に市民公開講座を開催し、その後も各地で研究の内容や課題を議論する予定。
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