政府は、国内で法令が未整備のため流通していない乳児用液体ミルクの「解禁」に向けた検討を始めた。
本年度中に方針をまとめる。
成分は粉ミルクと同じだがお湯で溶かす必要がなく、育児の手間が省けるため男性の育児参加の後押しにもつながると期待する。
封を切ればそのまま飲めるため災害で断水したり、お湯を沸かせなくなったりしても使える利点がある。
液体ミルクは子連れで外出する際の携帯にも便利で、海外では広く普及している。
内閣府の男女共同参画会議はこのほど、諸外国と比べて家事や育児をする時間が短い男性の意識改革に向け、専門調査会を設置。
液体ミルク解禁に関しても議論する。
国内での製造自体は禁じられていないが、食品衛生法に基づく厚生労働省の省令は、粉ミルクの規格しか設けられていない。
これまで保存期間が長く常温で流通させることができる粉ミルクが最適だと考えられてきたためだ。
また、妊産婦の健康や乳児の発育に適する商品は、消費者庁の許可を受け「特別用途食品」と表示できるが、液体ミルクは対象外。
こうしたことが国内で製造されず、海外製品を含めて流通していない要因となっている。
省令改正には衛生面での安全性を示すデータを業界団体がそろえる必要がある。
ただ海外では、無菌処理など技術向上で液体ミルクも紙パックやペットボトル入りで半年から1年程度常温保存できるようになり、一般的に利用されている。
今年4月の熊本地震では、緊急支援物資としてフィンランドの液体ミルクが乳児を抱える被災者に無償提供された。
内開府は、専門調査会での議論を通じて解禁の必要性の機運を高め、法令の見直しと、認知度不足から需要を不安視してきたメーカーによる製造につなげたい考えだ。
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