農林水産省が2022年度に、将来の農業の担い手となる49歳以下の新規就農者を育成する支援策を刷新することが11月13日分かった。
機械やトラックなど初期投資の負担を減らすため、最大1千万円を一括支援するほか、就農者を指導する農業法人などへの助成期間を従来の最長2年から5年に延ばす。
農業者が減少する中、就農者の経営の安定化や長期定着を後押しする。
1千万円は日本政策金融公庫が無利子融資し、償還金を国と地方自治体が負担する方向だ。
現行制度では、市町村から就農計画の認定を受けると、1~3年目に年150万円、4~5年目に年120万円の最大690万円の支援を受けられる。
ただ、農水省の調査では、5年間補助を受けた人の6年目の収入が、上位3割の平均で2千万円を超えた一方、下位3割の平均が163万円にとどまった。
農水省幹部は、現行の支援制度に関し「就農者から初期投資に十分対応できないとの声があった」と指摘。
2022年度の概算要求で、一括で1千万円を受け取れる新事業を盛り込んだ。
就農希望者を雇用して指導する農業法人や農家向けは、現行だと年最大120万円を最長2年支給している。
より営農技術の向上を促すため最長5年に延ばし、助成額も最大396万円に底上げする。
支援策は従来、国が全額負担してきたが、新たな支援は地方自治体と折半する方針だ。
就農者の育成が順調な地域は資金面や技術指導で自治体が主体となるケースが多いためだ。
ただ、JAグループや全国知事会は国の全額負担の継続を求めており、今後調整する可能性もある。
一方、支援額を積み増すだけで就農者の育成が十分に進むかは見通せない。
これまで3人の研修生を受け入れた千葉県山武市の富谷さんは支援が増えても「助成金を使い終わってリタイアしないよう、就農者が経営意識を高くすることが肝心だ」と話す。
農業を主な仕事とする「基幹的農業従事者」は2020年に136万人で、10年前から約3割減少。
49歳以下の新規就農者も5年連続で減っている。
2020年は1万8380入。
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