広島大大学院統合生命科学研究科の浅野特任教授たちのグループは8月24日、タンパク質の一種「5MP」が、老化に伴う神経性疾患の発症や進行を抑制する働きを持つことが、ショウジョウバエを使った実験で分かったと発表した。
認知症やパーキンソン病などの一部で治療法の開発が期待できるという。
浅野特任教授によると、神経性疾患の一部は、タンパク質の異常な合成によって神経細胞が死滅して引き起こされる。
グループは、異常なタンパク質合成を抑える働きがある5MPに着目。
5MPを持つ遺伝子をヒト細胞に組み込んで調べ、神経性疾患の一部に特有の異常な合成の発生が抑えられることを確認した。
さらに、神経性疾患の要因となる異常な遺伝子を持たせたショウジョウバエの実験では、5MPを多くつくり出す遺伝子を組み込むと、そうしなかったハエよりも寿命が長くなり、ほぼ正常な寿命になることを確かめた。
アルツハイマー病以外の認知症やパーキンソン病などに対する、5MPを活用した治療法の開発につながるという。
浅野特任教授は「詳しいメカニズムが明らかになっていないさまざまな神経性疾患について、解明への一歩になる」と話す。
研究成果は7月中旬、米科学誌のオンライン版に掲載された。
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