「登運とん」を出て、もう1軒行こうと思った。
はて、どこへ行こうか。せっかく、船橋まで来たのだから、久しぶりに立ち飲みラリーでも再開させようか。
東西線編は行徳駅で中断中である。次の駅は妙典である。
妙典は東西線の中で最も新しい駅である。この地域はかつて蛇島と呼ばれた辺境である。だが、今やちょっとおしゃれな住宅街になった。ショッピングセンターがあり、映画館もある。このちょっとした街なら立ち飲みの一軒もあるだろうと踏んでいたが、店は見つからなかった。
東西線は立ち飲み空白地が多い。
南砂町、西葛西、南行徳、そして妙典。すでに4駅も立ち飲み屋のない街を通り過ぎた。
この日、ボクはすでに10kmは歩いていた。妙典の隣の駅、原木中山まで歩くのはもうかなりしんどい。
しかも妙典ー原木中山間には江戸川が立ちはだかる。橋を渡るために大きく迂回しなければならず、もうすでに億劫だ。
だが、ボクはいかねばならない。
何のために?
いや、そこに立ち飲みがあるからだ。
東西線沿いに東へ行き、江戸川に突き当たって、気が遠くなりそうになった。
向こう岸に渡る橋がなく、最も近い橋ははるか北に霞んで見えるからだ。
そうやって、原木中山まで大幅な迂回を余儀なくされた。
橋を渡ったところで、ぼくのサンダル「エアデシュートPRO」の様子がおかしくなった。ソールがはがれたかと思うと、たちまちのうちに壊れた。1日のうちに10数km歩き、靴もそうとうダメージがあったのだろう。約20年履いた靴を捨てて、ボクは裸足で歩いた。
しかし、果たして原木中山に立ち飲み屋はあるのだろうか。
原木は南行徳よりもマイナーな駅である。いや、東西線の中で最もマイナーな駅といってもいいだろう。場合によっては妙典、原木と2駅続けて空振りする可能性もある。その場合、どうするか。いよいよ東西線の終点、西船橋まで行くべきか。考えるだけで憂鬱になる。
だが、それは杞憂に終わった。
なにしろ、原木中山駅前に立ち飲みはあった。しかも2軒も並んで。
ボクは近所で靴屋を探し、1足100円のサンダルを見つけて、ボクはすぐさまそれに履き替えた。そしてすぐさま立ち飲み屋の1軒「づめかん」に足を踏み入れたのである。
東西線沿線を中心に急拡大を続ける「づめかん」。
浦安、行徳、そしてこの原木中山と3店目の入店になるが、この原木中山店は断然汚い。
行徳店も汚い店だだったが、それを上回る汚さだ。
古い店で汚いというのではなく、掃除をしないから汚いという感じである。
ボクは店の奥にポジショニングして、「チューハイ」(150円)をオーダーした。
この価格、東葛地域の立ち飲みチェーンである「くら」と双璧をなしていたが、値上げしたのが「くら」である。
今や、150円のチューハイはぶっちぎりの安さである。そして、ホッピーセットは300円。「中身」が50円。やはり、これも最強だ。
つまみも安い。
100円のメニューが充実しており、ホッピーセットでナカ2杯お代わりし、つまみを2品頼んでも600円にしかならない。
センベロではなくコインベロも可能だ。
つまみは「アジフライ」と「キューリナムル」である。
味は特筆すべきものではないが、やはりこの値段にボクはぐうの音も出ない。
もうひとつ「づめかん」の特徴がある。
女子のアルバイト店員が愛想がよく、ルックスも悪くない。これは浦安店でもそうだったし、この原木中山店でもそうだった。
玉にきずといえば、店がばっちいことである。
結局、「チューハイ」×3、つまみ2で合計650円。すっかり酔えた。
ボクの足元は100円のサンダル。恐るべし、原木中山。
恐るべし「づめかん」。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます