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蕎麦屋さすらい 127 - 静岡県内でしか食べられない - 「桃中軒 三島駅新幹線ホーム店」(三島市一番町)の「桜えびのかき揚げそば」

2022-02-11 21:23:03 | 蕎麦屋さすらい

レッドデータリストに入りつつある駅蕎麦だが、亜種として注目されるものもある。それは新幹線の駅蕎麦。東京と名古屋ばかり利用するが、両駅にはしっかり駅蕎麦がある。もっとも名駅の蕎麦はきしめんだが、駅蕎麦のカテゴリーに含めても差し支えないだろう。その他の新幹線駅に駅蕎麦があるか否かはよく知らないが、三島駅には存在した。

「桃中軒」という名の店。

この屋号をきくだけで、もう老舗だと感じさせる。

調べてみると、「桃中軒」の創業は明治24年とのこと。もう、ゆうに120年を超える伝統のお店。当時は駅弁の販売からスタートしたとのことだが、今も変わらず営業されているのが凄い。日本全国にあった駅蕎麦の店舗も元々は駅弁屋さんからスタートしているところが多い。しかし、今も生き残るお店はあまりない。品川の「常盤軒」、我孫子の「弥生軒」くらいしか、もう知らない。それが今も東静岡にて脈々と受け継がれているとは、驚きとともに嬉しくもある。

プレハブみたいな建物は全方向ガラス張り。三島駅の新幹線ホーム店はちょっと革新的な駅蕎麦だった。

券売機を見て、もう迷うことはなかった。完全一択。「桜えびのかき揚げそば」。580円。

ご存知の通り、国内の桜えびは駿河湾でしか獲れず、日本で流通する桜えびは全てが駿河湾産のものだ。国内に流通といっても、桜えびは生きたまま、輸送するのは難しく、県外に出ることはあまりないと聞く。つまり、ほぼ静岡県内でしか食べられないものといえる。だから、「桃中軒」の駅蕎麦はこれ一択なのだ。

かき揚げにえびが入ると、その雰囲気は一変する。たとえば、インスタントうどん「緑のたぬき」を思い出してほしい。あの「みどたぬ」のかき揚げにはえびが入っていた。そのえびのおかげで、かき揚げの味わいに深みを与え、かき揚げがスープに溶けてもろもろになっても、出汁を引くという強烈な主役級の存在として君臨していた。ただ、「みどたぬ」のかき揚げのえびは不自然に赤かったが、三島駅「桃中軒」の桜えびのかき揚げはその名の通り、見事な桜色だった。しかも、見ての通り、桜えびたっぷりなのである。

その見た目に違わず、これが本当にバカうまだった。サクサクのおいしさは言うに及ばず。溶けてもろもろになると、その桜えびは出汁化した。それは「みどたぬ」の小えびの比ではなかった。甲殻類独特の味わいがやや黒目のそばつゆを味変させたのだ。

このかき揚げはまさに値千金。静岡の至宝。静岡に降りたら外せない。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ジャン(船山史家))
2022-02-12 07:39:13
自分は三島駅の東海道線ホームで食べました。
https://funayama-shika-3.blog.ss-blog.jp/2021-10-08
この時は新幹線ホームは休業中でしたね。
他、東海軒、富楊軒、いずれも明治の創業らしいです。さすがに例のJR東日本の子会社はJR東海まで浸食してないみたいですね。熱海駅まででしょう。
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桜海老天 (電気がま)
2022-02-12 07:46:55
 おはようございます。
「桜えび天そば」、言われて見ると静岡だけでしたね。
とはいえ最近は静岡市でも出すお蕎麦屋さんが少なくなりました。

 その原因はもちろん桜エビの不漁です。
そしてお値段も高くなってきて、なかなか食べることができなくなりました。
昔は「スマル亭」さんなどの立ち食いそば店で気軽に食べられました。

 20年ぐらい前は400円以下でしたが、今ではその二倍ぐらいになっています。
生の桜えびもなかなか食べられなくなりましたね。
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Unknown (熊猫)
2022-02-12 09:28:46
ジャンさん。

やはり、ジャンさん、行かれてましたか。その記事、見落としていました。
やはり、主導権を握る巨大資本が、駅弁屋さんからスタートしたお店を駆逐してきたのかなと思います。JR東海をはじめとする長距離利用が多いJRはまだ駅弁文化があり、こうしたお店もまだまだ元気なのでしょう。

電気がまさん。

桜えびはどうやら不漁のようですね。その結果、価格が高騰して、県民でもなかなか食べられない状況はとても残念です。
三嶋駅で、その桜えびかき揚げをいただけたのは幸運だったと、改めて思いだして余韻に浸っています。
電気がまさんは「かけそば」のご専門ですが、いつか桜えびが登場することも、ちょっと期待を寄せてしまいます。
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