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約束の時間には、まだだいぶ早くて。天気が下り坂だった博多も、とうとうこらえきれなく雨が降りはじめた。目の前にちょうどカフェがあったから、雨宿りがてら入ってみることにした。かなり、こぎれいなカフェ。若くて今時の女性が2人で切り盛りしている。
「ブレンドコーヒー」をひとつ。
テーブル席に腰かけて、店内を見回すと、壁の色が奇妙な色彩に彩られていることに気づく。ダークブラウンの壁。それは決して鮮やかではない。どす黒い茶色。何でこの色を採用したのか。やけに気になったものだから、コーヒーを持ってきたお姉さんに聞いてみた。すると、彼女は、現代アートの芸術家の名前を出すとともに、一冊の美術書を持ってきてくれた。知らないアーティストだった。
ページを繰っているうちに、店舗の壁の色は、そのアーティストに深く影響を受けたことに気づく。
コーヒーは、深い青のカップで出てきた。
うまい。
深煎り全盛の時代にあって、微かな酸味を感じることに新鮮さがある。
カフェは空間であり、アートである。それが居酒屋との大きな違いだ。したがって、物理的な空間よりも、奥行きは広い。それがカフェの魅力といえる。あらゆるオブジェクトがアートであり、意味がある。だから、カフェはそこにいるだけで、客もアートと一体になる。それはアートを巡る、ひとつの旅でもある。
たった一杯のコーヒーで、その旅に出られるのならば安いものである。コーヒーは、その思考の旅を創造してくれる。
「manu coffee 」の一杯のコーヒーは、充実したものだった。
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