秋葉原の昭和通り口は路麺蕎麦屋の激戦区だという。
改札を出ると、「箱根そば」があり、そして「富士そば」、さらに「みのがさ」があり、ちょっと道を外れるが、「二葉」、再び昭和通りに出て、「そば・うどん あきば」。
チェーン店はさておき、「みのがさ」(この店も多店舗展開ではある)、「二葉」、「そば・うどん あきば」はファンの評価が高い名店だ。
ボクはこの3つの店を交互に使い分けている。
とりわけ、「みのがさ」は日本の三大蕎麦のひとつ、戸隠産の蕎麦粉を用いている点で出色だ。
年間30tのみ収穫されるという蕎麦粉は、近年長野県産であれば、戸隠と言ってしまう傾向の業界とは一線を画す。
店の暖簾には、六文銭。
そう真田氏の家紋だ。
二八蕎麦は、その洒脱な言い回しで十六文蕎麦ともいわれるが、真田の家紋を見ると「いいのかい?六文で」と返したくなる。もしかすると、洒落が効いているのかもしれない。
「みのがさ」の自家製麺が二八なのかは、未熟なボクには分からないが、とにかく戸隠蕎麦が「もり」「かけ」ともに320円で食べられる点がまずすごいのだ。
戸隠蕎麦を存分に味わうのであれば、当然「もり」を選択すべきなのだが、何故かボクはここに来ると「種もの」を頼んでしまうのだ。
今回選んだのは「かき揚天」のそば(420円)。
どうでしょう。このかき揚天の存在感。
思わず主役の蕎麦を喰ってしまいそうな迫力。
まず汁をいただく。
香りが強い汁だが、角がとれてまろやかだ。恐らく、丁寧に返しを熟成させたのだろう。
うまい。うますぎる。
蕎麦にも独特の香りがあって、やや甘い。
挽きぐるみのまま蕎麦粉にするという、これが戸隠の戸隠たる所以なのか。
これで420円。
本当に420円でいいのか。
かき揚天の衣もサクサクに挙げられており、全て仕事が丁寧であることを裏付ける蕎麦。
見事である。
店舗は地味であり、一見すると単なる立ち食いの蕎麦屋にしか見えない。
これは、国衆という立場でありながら、強国の大名とわたりあった真田氏を彷彿とさせる店である。
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