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蕎麦屋さすらい 012 - 戸隠の二八に足るる六文銭 - 「みのがさ 神田和泉町店」(千代田区神田和泉町)

2016-12-10 15:16:48 | 蕎麦屋さすらい

秋葉原の昭和通り口は路麺蕎麦屋の激戦区だという。

改札を出ると、「箱根そば」があり、そして「富士そば」、さらに「みのがさ」があり、ちょっと道を外れるが、「二葉」、再び昭和通りに出て、「そば・うどん あきば」。

チェーン店はさておき、「みのがさ」(この店も多店舗展開ではある)、「二葉」、「そば・うどん あきば」はファンの評価が高い名店だ。

 

ボクはこの3つの店を交互に使い分けている。

とりわけ、「みのがさ」は日本の三大蕎麦のひとつ、戸隠産の蕎麦粉を用いている点で出色だ。

年間30tのみ収穫されるという蕎麦粉は、近年長野県産であれば、戸隠と言ってしまう傾向の業界とは一線を画す。

 

店の暖簾には、六文銭。

そう真田氏の家紋だ。

二八蕎麦は、その洒脱な言い回しで十六文蕎麦ともいわれるが、真田の家紋を見ると「いいのかい?六文で」と返したくなる。もしかすると、洒落が効いているのかもしれない。

「みのがさ」の自家製麺が二八なのかは、未熟なボクには分からないが、とにかく戸隠蕎麦が「もり」「かけ」ともに320円で食べられる点がまずすごいのだ。

戸隠蕎麦を存分に味わうのであれば、当然「もり」を選択すべきなのだが、何故かボクはここに来ると「種もの」を頼んでしまうのだ。

今回選んだのは「かき揚天」のそば(420円)。

どうでしょう。このかき揚天の存在感。

思わず主役の蕎麦を喰ってしまいそうな迫力。

 

まず汁をいただく。

香りが強い汁だが、角がとれてまろやかだ。恐らく、丁寧に返しを熟成させたのだろう。

うまい。うますぎる。

蕎麦にも独特の香りがあって、やや甘い。

挽きぐるみのまま蕎麦粉にするという、これが戸隠の戸隠たる所以なのか。

 

これで420円。

本当に420円でいいのか。

かき揚天の衣もサクサクに挙げられており、全て仕事が丁寧であることを裏付ける蕎麦。

見事である。

 

店舗は地味であり、一見すると単なる立ち食いの蕎麦屋にしか見えない。

これは、国衆という立場でありながら、強国の大名とわたりあった真田氏を彷彿とさせる店である。

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