新宿駅の駅弁屋ではもう迷うことはなかった。「日本ばし 大増」の駅弁を買って茅野に行こうと思っていた。定番の「チキン弁当」もいいが、ここはちょっと豪勢にいきたい。いろいろ物色したが、一番見栄えのいいものを選んだ。「季節折詰〜ふゆ〜」。季節限定ものらしい。限定ものには弱い。
二段のお弁当で1,403円(税込)。自分としてはかなり奮発した。しかも、ビール付き。サントリーの「TOKYO CRAFT IPA」。これもまた限定醸造。
E353形の車両は快適だった。シートの重厚感、ピローの上げ下げ。さすが新型車両だ。車両は思った以上に客が乗っていた。年末のコロナ禍。東京から長野に行く旅人は自分だけではなかった。
八王子を過ぎたあたりで、折詰を紐解いてみた。漆黒の箱はお重を思わせる。もちろん、発泡スチロールなのだが雰囲気は重厚だ。そしてお重を開けると、そこはふゆだった(川端康成「雪国」風に)。
ものすごい内容に思わず絶句。ぎっしり詰まった珠数の品々。まずは目で料理を楽しませてくれる。これぞ、駅弁の醍醐味。
まずは眼前の「壱の重」。
鶏つくね、笹かまぼこ、梅入りささみ揚げ、玉子焼き、里芋田楽、有明海老煮、ひじき煮、野菜入りさつま揚げ。
焼き物、練り物、煮物、揚げ物。なんでも入った玉手箱(あえて宝石箱とは言わない)。
そして、クライマックスが「江戸うま煮」。これこそ、「日本ばし 大増」の真骨頂。蒟蒻、はす、がんもに人参、そして椎茸。江戸の味を今に伝える心意気。これが、ひとつのお重にぎっしりと詰め込まれている。
更に、「弍の重」。
ご飯の上に豪華にも、いくら醤油漬と鮭フレークがのる。
何という贅沢さだろうか。これで1,400円は安い。
どこから手をつけていいか、わからない。迷い箸ばかりで、はしたないが、一人弁当ならOKだ。
車窓は八王子を過ぎると、一気に田舎のそれにかわる。
遠くの山々は冠雪しており、季節はもう厳しい冬を迎えつつある。やがて八ヶ岳が見えてきた。その美しい姿は神々しくもある。
ゆっくり味わった、「大増」の豪華折詰弁当。本格な冬の到来とともに季節を運ぶ。限定弁当は2月16日までの販売である。
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