リニューアルする立ち飲み屋の訪問が続いている。
先週は恵比寿の「縄のれん」。
そして、新小岩の「しげきん」。
いずれも熱烈なファンを擁する店だ。
「しげきん」には随分前から目をつけていた。
その店構えから、ただ者ではない雰囲気を感じた。
だが、日曜日が定休日なのだ。
草野球の帰りに何度か店に行ったことがあった。
そうするうちに店がなくなった。
新小岩事情に詳しい草野球の監督に訊くと、どうやらリニューアルするらしいということがわかった。
しばらくして、監督から「『しげきん』リニューアルしたよ」。
との連絡が入った。
ボクは、すぐさま店に向かった。
店の外観はそれほど大きくは変わっていなかった。
「縄のれん」のような西洋モダンの変貌とは違っていた。
伝統のある店作りを優先したのだろう。
だが、店内はイメージとは違っていた。
カウンターの立ち飲みスペースは予想通りに粋だったが、その背後には、テーブル席あり、小上がりありと、いわゆる全天候型の居酒屋だった。
かつての店がどうだったか知らないから、何とも言えないのだが、純立ち飲み屋ではなかったのである。
ともあれ、ボクはカウンターにポジションした。
そして、何を飲み、何を食べようか思案するべく、メニューを見た瞬間、固まった。
「料理全品340円」。
マジか。
「鳥唐揚」も「馬さし」も「煮魚」も「じゃこ天フライ」も「砂肝ソース煮」も「かにしんじょう」も。
そして、「こんにゃく土佐揚げ」も「小肌酢」も「鳥なんばん漬け」も「和風皿うどん」も。
おいおい、普段なかなかお目にかかれない肴ばかりじゃないか。
これはとんでもなく当たりの店に来てしまったもんだ。
しかも料理だけが340円という訳ではない。
「生ビール」も340円である。
これもすごい値付けだ。
390円の生ビールならば今や珍しくない。この価格、相当頑張っているに違いない。
もっとも、飲み物は340円均一というわけではなかった。
チューハイ関係は軒並み240円である。
これも素晴らしい。
ボクはまず「生ビール」に「いなだ刺し」をオーダーした。
ビールはスーパードライ。中ジョッキではなく、タンブラーで出てきた。
340円ならばこんなものだろう。
そして「いなだ刺し」。
きっちりとサクのままの姿を残して、5片の切り身がきちんとかしこまって鎮座していた。
隣の御仁が食べている「ひらまさ刺し」も盛り付けがやけに丁寧だ。
この大将、なかなかやるな。
「しげきん」の名称からして、魚関係に強いと思っていたが、いい仕事をしている。
これは仕入れからしっかりとしていないとこの価格とクオリティは出せない。
これだけで実力を推し量るに十分だった。
ボクは「チューハイ」と「じゃこ天フライ」に。
これもまたすこぶるうまかった。
お造りよし、揚げ物よしと来れば、これはちょっとした割烹気分である。
多分、この値付けとクオリティは、ぎりぎりでやっているんじゃないかと思う。
しかし、何故340円なのか。
これが大問題である。
例えば、300円均一とかってよくある店のパターンだが、あえて340円という半端な数字が出てきたということは、何かに由来し、何かに根拠があるのだろう。それを思うとき、恐らくこれは考えに考え抜いた結果の値付けなのだろうと結論に至る。
「しげきん」は偉大だ。
ここに行くことだけを目的に総武線に乗るのも悪くない。
料金は300円→320円→340円と推移しています。
やはり、割烹でしたか。
ただ者ではない雰囲気がビシビシ感じられました。
値段設定の変遷もよく分かりました。
やはり、物価上昇を吸収しきれず、値上げをされているのですね。
340円に納得です。
人も雇用していますので、それでも多分、利益はギリギリではないかと感じます。