仕事が捌ききれないため、やむなくMちゃんにお願いをしようと呼び出した。
「Mちゃん、飲みに行こうよ」。
「ならば兄さん、西川口に行きましょうよ」。
彼とは、もうかれこれ25年の付き合いになる。アジアから帰国して入社した業界誌の出版社で、彼は2ヶ月前に入社した先輩だった。お互い20代で、馬鹿なことばかりしてきた。Mちゃんは真面目ではあったが、気持ちが空回りして、失敗ばかり。でも何故か憎めない奴だった。だが、彼はある日、社長との出張に遅刻をして、クビ同然で退職する。その後は同業の出版社を転々としたが、いつしか機器販売屋さんになり、いつしか整備工場のフロントになり、根無草の如く業界を彷徨った。
久しぶりに会った彼は、元気そうだった。
「いい店知ってるんです」。
彼のいい店は、あまり期待出来ないなと連れて行ってもらったのが、「とさか」とい酒場だった。
テーブル席に座り、まずは「赤星」から。お通しが出てきた時は、やっぱりと思ったが、お煮しめと大根おろしという見慣れぬコンビネーションが、「おや」と思わせた。その大根おろしは、おかわりが自由だそうだ。
いきなりのお煮しめに驚いたが、その後の彼の注文もびっくりした。
お店は串焼きのお店だったから、それをメインに自分が検討していたところ、「兄さん、任せてくださいよ」と彼がメニューを吟味し始めた。
Mちゃんがオーダーしたのは、「ささみの一夜干し」。
「みょうがの酢の物」、そして「ふき」の料理。
渋い。さすが、佐渡島出身。
そういえば、以前こんなことがあった。彼は、28歳頃に結婚したのだが、その披露宴は、国立だったか、国分寺だったか、有名な蕎麦屋で行った(「居酒屋さすらひ」未収録)。その時も、渋い料理の数々に驚いたものだった。その頃、自分は30歳を過ぎていたが、20代の彼が、しゃもじについた味噌を舐めながら、日本酒をうまいうまいと飲っていたのは、ちょっとした衝撃だった。
その彼からすれば、このつまみのチョイスも納得いくものだった。そういえば、Mちゃんと2人きりで飲むのは何年ぶりだろうか。
Mちゃんチョイスで、「馬刺し」を追加。これがまたとろけそうにおいしかった。
ビールを飲み干して、「ホッピー」白へ。Mちゃんはサワー系に。日本酒は自重したらしい。
ホッピーの「中」をおかわりしたとき、またもやサプライズが起こった。小さなやかんできた「中」は、「ストップ」まで注いでくれる「焼き鳥センター方式」。これを個人レベルの店舗でやるとは。
ここまではかなりヘルシーなつまみで、自分としては物足りなく、自分チョイスで、「つくね」をタルタルソースまみれでオーダーした。Mちゃんと自分の明暗別れる、みたいな。
でも、自分はこういうジャンクなものが好きなんだよなぁ。
Mちゃんチョイスの「とさか」は、なかなかどうして、かなりいいお店だった。渋いつまみからジャンクなものまで。まるでヤンマーディーゼルみたいじゃないか。
つまみもものすごい数があって、素晴らしい。
「Mちゃん、いいお店じゃない!」
ここなら、またリピートしたい。
ちなみに最後は、マルゲリータみたいなのを飲んで〆た。
このお店ですが、静岡市にある同名のお店とほとんど同じメニューです。
お通しも同じ組み合わせで大根おろしのお代わり無料。
ホッピーのナカを薬缶で入れるのも同じです。
はては馬刺しもよく似ていますね。
ひょっとしたら姉妹店なのかもしれません。
(笑)
こんにちは。
電気がまさんの記事、改めて拝見しました。読んだのに、すっかり忘れておりました。
「馬刺し」似ていますね(笑)。
恐らく、同じお店かなと。
この西川口のお店に「西川口店」とあったので、多店舗展開をされているというのは分かったのですが、まさか静岡市だったとは。
驚きです。
文中にも書きましたが、かなりいいお店だったので、また行ってみようと思いました。
埼玉県にはまだまだ未知の店が多くて。
電気がまさんも東京にお越しの際は、埼玉も是非探検してみてください。
でも、またコロナが多くなりつつありますが。