中華さすらい 203 - ファンファンファン- 「土鍋・大餃子」（北区東十条）

T根が東十条に行きたいと行った。

「あの中華に行きたくてさ」。

あの中華とは、「土鍋・大餃子」である。前回、T根を連れて行って好評だったのだ。へぇ、気に入ってくれたのなら嬉しい。

もっとも、T根は「熱烈中華」ばかりいってるだろうから、そこが基準になっている。だってT根の働く会社（自分の古巣）は打ち合わせと称して、「日高」ばかり行くのだ。

お店で待ち合わせをして、二人揃ったところで、それぞれまずは「ホッピー」白をオーダー。

料理をT根に任せたら、まずは「棒々鶏」をチョイスした。オーダーも人それぞれである。そういえば、「土鍋・大餃子」では、まだ「棒々鶏」って頼んだことなかったんじゃないかな。

その初めて見る「棒棒鶏」は、かつてのホームタウン中華だった「香港亭」のそれに似ていた。トマトやきゅうりは添えられてなく蒸し鶏にゴマだれがかかっているのみ。香港の「棒棒鶏」って、こんな感じなのかしら。

T根は最近、血圧が高いらしい。健診で指摘されたという。自分より5つも若く、まだ40代なのに。ただ、腹の出方は尋常じゃない。よく食べて、よく飲むし、実際、「ホッピー」はワンセットでは足らず、この後2セット目もオーダーしてたし。

「自分より先に死ぬなよ」とだけ言っておいた。

その後も次々と料理をオーダーするT根。恐らく、あまり高血圧も気にしてない様子。それが一番いいんじゃないかな。

そしてT根がチョイスした〆は「上海焼きそば」だった。「土鍋ラーメン」ではなく、「炒飯」でもなく、自分と同じ焼きそばだったのが意外だった。

会計時、T根は「おいしいね」と小姐に言うと、彼女はにっこりと笑った。