立ち飲みラリー山手線編は、品川をコンプリートし、次の大崎駅へと向かう。
山手線の円の下部曲線部。地図を見ると、その曲がり具合にいささか驚く。いよいよ山手線編は西側に舞台は移される。
しかし、その前に行くところがある。京浜急行に乗っていると車窓から見える立ち飲み屋さん。第一京浜沿いに見える店。営業しているような雰囲気はないのだが、確かめてみなくてはならない。第一京浜を歩き、件の店の前に着いてみると、店の入口に「閉店」したとの貼り紙がしてあった。
「昭和」という名前の立ち飲み屋はボクが訪れるまで、待ってはくれなかった。
新八ッ山橋の交差点まで来た。
この先、どのように大崎駅まで行けばいいのだろうか。ボクの前に御殿山が立ち塞がる。
とりあえず、第一京に沿って南下した。そして、北品川駅を左手に見て、品川女子学院を通過したところで西に折れた。すると、辺りは一変した。真っ暗なのである。
御殿山。
これが、果たして東京の、しかも山手線の内側にある場所なのか。
鬱蒼とした木々が生い茂り、虫の音すら聞こえてくる。人やクルマは通らず、暗がりを歩いていると、まるで闇の中に吸い込まれそうな気持ちになってくる。
カルチャーショックだった。
東京の真ん中で、このような場所があっただなんて。
やがて、山を降りると、少しずつ人の行き来が見えて、思わずボクはホッとした。
その人の流れに沿って歩くと、駅に出た。
大崎駅だった。
だが、辺りは暗い。大きなショッピングモールがあるだけで、立ち飲み屋はおろか店すらなかった。西口に活路を見いだそうと、通路を行くと、居酒屋が何軒か見つかった。
だが、立ち飲み屋は、どう見てもなさげである。
もはや、あきらめかけて、駅西口から直結するインテリジェンスビルに行ってみると、飲食店が集まるフロアーに出た。その一角から、歓声が聞こえてくる。
「fooTNik」である。
こないだ、MJと恵比寿で入った店の大崎店であった。
おおかた、サッカーのゲームでもあるのだろう。はて、今日は代表戦だったか。と店を覗いてみると、黄色のユニを着込んだ男らが立ち上がり、右手にビール、左手は固めた拳を上げている。
太陽王、柏レイソルのサポーターだった。
今夜はACLか。
さすがに、ブリーフ隊はいなかったが、多くのサポーターのほとんどが立ちあがっている。まさに立ち飲みだった。
ボクは「ロンドンプライド」(1,000円)の樽生とフィッシュアンドチップスを頼み、なんとか空いているスペースにもぐりこんだ。
聞いたこともないロンドンのビールはお腹にドスンと来る硬派なビールだった。まさにロンドンの誇りともいうべきビール。それを片手にボクもゲームの行方を追った。
1週間前に行った仙台のスペインバルと比べると、英国パブは直接的である。ビールとフィッシュアンドチップス。それは、まさにパワープレイ。
一方、スペインバルのタパスといった小皿料理はつなぐパスサッカー。イングランドのパワープレイとスペインのつなぐサッカー。サッカーのプレイスタイルがそのまま酒場、いや酒の飲み方にも現れている。
どっちがいいかって?
それは分からない。
ボクはフィッシュアンドチップスが好きだし、ビールも大好きだ。一方、ワインも好きだし、アヒージョも好きだ。
ただ、わいわい騒ぐのも嫌いではないけれど、ボクは一人で飲んで、知らない人と友達になるのが好きだな。
サッカー文化が、もしかすると日本の立ち飲みシーンに与えた影響は大きいのではないだろうか。
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