NHK 大河ドラマ「龍馬伝」32回。「狙われた龍馬」。
西郷吉之助を説得するため、決死の念で京都に赴いた龍馬は寺田屋に立ち寄ると、お龍は新撰組の近藤勇の相手をさせられていることを知る。そこで、龍馬は芝居を打ち、近藤との一献を申し出た。腹の虫がおさまらない龍馬は近藤を怒らせ、刀鞘で失神させる。やがて、近藤は意識を取り戻し、帰り際、お龍に、座敷にあがってきた男の素性を聞く。当然、お龍はしらを切るものの、近藤は「どこかで見た奴だ」といい、そして思い出す。「以蔵を逃がした奴だ」と。
龍馬とお龍、そして以蔵が唯一交差するシーンである。
筆者が立ち飲み維新と位置づけた「龍馬」は、系列店に「以蔵」と「ORYO」を抱える。
「以蔵」は烏森神社」の裏手、「oryo」は「龍馬」の並び。ちなみに「龍馬」は元々、「oryo」の場所にあったらしい。
「以蔵」は「龍馬」のサテライト店というあんばいだが、「ORYO」は独立した存在だ。それも大人のバーという名に相応しい。
「ギネス」は19時までがパイント、700円。この価格は安価だ。かつて、豊洲の角打ち「la piccola cantina TOKI」の600円に次ぐ価格だ。
ドライフルーツ(530円)の甘味と、「ギネス」の苦味を愉しみながら、女性のバーテンとの話しに花を咲かせていると、なんだか不思議な感覚に陥る。
今、ボクはどこにいるのだろう。極めて非現実的な世界に自分が浸っていることを。
これこそ、バーの本来の仕事であろう。あくせくする時間を忘れ、ゆっくりとした時間の中に身を置く。この空間は特別だ。
それは「龍馬」と「お龍」の持つ魔力なのかもしれない。
漫画「壬生義士伝」の冒頭シーンは神田の居酒屋から始まる。明治初頭の設定だ。
「お龍」にいると、そのシーンを思いだし、一瞬ここはどこなのだろうと錯覚する。でも、それはとても心地よい。
簡単なつまみは「お龍」で供されるが、「龍馬」の人気メニューも注文できる仕組みになっている。ボクは「アジフライバーガー」(650円)を頼む。
ギネスはついついお代わり。
カクテルの中には、「お登勢」の名前も。
そう寺田屋の女将の名前がつけられている。
「アジフライバーガー」は「龍馬」から届けられた。早速、かぶりつくと、じわーっとアジフライとソースの味がほろほろと口の中に広がる。
大人のバーでありながら、遊び心のある「龍馬」のエッセンスも取り込まれている。そのうえ、雰囲気は妖艶だ。
新橋の居酒屋でついつい飲みすぎてしまった〆に心を落ち着かせて帰るに相応しいバーである。
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