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湯島中坂下の交差点、上野黒門町側にたつ、こじんまりとしたコーヒー屋さん。
「ZHEN」。ツェーンと読む。
ガラガラと音をたてる、やや重厚な引き戸を開けると、目の前にコーヒー豆が豊富に並ぶ。瞬く間に全身が香ばしい薫りに包まれる。
その向こうに、コーヒーロースター。
一階は、それでおしまい。
今まで、何度も店の前を通りすぎてきたが、これは意外な展開。
狭い店とは思っていたが、これほど狭いとは。
喫茶スペースは二階。
二階というよりもロフト。ロフトみたいなイメージ。だって、テーブルはわずかに4。
そのスペース、8坪程度だろうか。
小さなお城。極めて質素なお城。
白い壁のクロスに飾られているのは、「今日のコーヒー」と手書きされたポスターのみ。
おすすめコーヒーは日替わりで。コーヒー好きにはたまらない。
この質素なお城は、まさに「コーヒーに集中せよ」という暗黙のメッセージのようだ。
ある意味、究極のテイスティング。それは、まるで心理学の実験室。
ボクは「不忍ブレンド」(470円)と「パウンドケーキ」(250円)をオーダーした。
「不忍ブレンド」。
上野公園に広がる不忍池から、南に数百メートルの距離にある同店のオリジナルブレンド。天神下ブレンドではなく、何故不忍なのか。
けれど、不忍のほうが、名称としての語感は抜群にいい。
抽出はペーパードリップ。一階から豊かな薫りがたちのぼってくる。ワクワクしてくる瞬間だ。
同店のスイーツはパウンドケーキのみ。プレーンとチョコレート、そして無花果。
ボクは、無花果を選んだ。これが抜群においしかった。無花果の微かな甘味とオリエンタルな味わい。おいしい。
一方、「不忍ブレンド」は、やや酸味が強いが、味はしっかりとしている。飲む度々に深みが増していく。ボクは、ブラックでコーヒーを飲むので、関係ないけれど、残念なのは、ミルクではなく、コーヒーフレッシュがついてきたこと。だが、コーヒーフレッシュの横には、お茶うけともいうべき、「ロータス」がついてきた。これは嬉しい。
「喫茶さすらい」の初回を飾った「ダミアーノ」でも、このお菓子がお茶うけとして出てきた。
ロータスは蓮。それは、さながら不忍池に浮かぶ蓮。まさに不忍ブレンド。不忍に浮かぶ蓮の葉が上野の山から吹き込む風に揺れている。
さわやかなのである。
上野公園を歩き疲れたら、ZHENでひと休み。
小さなお城が癒してくれる。
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