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上野アブアブの前を通りかかると雪がちらつき始めた。
今夜も東京はかなり冷え込む。
本格的な降りにはならないだろうが、金曜日の夜に小雪は具合悪い。
会社の同僚、T根川君と合流し、彼が「安い」と絶賛したお店に向かう途中、こんな寒い夜にも関わらず上野仲町通りのアーチをくぐると客引きの黒服がわんさと寄ってくるのだ。盛り場はいつでも人でごった返しているのである。
店はものすごい混みようで、昨年結婚したばかりの新婚野郎A藤君が既に先乗りしてテーブルを取っているという。果たして、どのような居酒屋なのか、期待は限りなく膨らんでいく。
しかし、上野の小さな飲み屋街は相変わらず猥雑だ。キャバクラと韓国料理屋と風俗店、そして普通の居酒屋が混在する、この通りは何かに憑かれたような空気さえ漂う。少し気を許すと、底なし沼のような堕落に溺れていくようだ。
そうして通りを歩いていくと、やがてT根川君が「安いっスよ」と案内してくれたお店へと辿り着くのだった。
店の入り口頭上には映画「青い山脈」(監督:西河克己、主演:吉永小百合 63年日活)のペンキ絵が掲げられている。
こ汚い大衆酒場をイメージしていたおいらは少し意表をつかれた。
どうやら、「ラーメン博物館」のような人工的に造った昭和レトロ風の居酒屋らしい。
なるほど、これはT根川君が好みそうなお店だ。店は地階にあるらしく、うす暗い螺旋状の階段を降りていくと、壁には東宝の古臭い映画ポスターなどが無造作に張ってあるなど演出が細かい。また、誰の唄かも分からないが、まだ自分が生まれる前の随分昔の流行歌のようなメロディが階段を降りる我々の耳元に聞こえてくる。その演出たるや、ちょっとしたディズニーランドのようでもある。
「ははぁ、これが最近巷を賑わせているテーマパーク型の店か」などと思いつつ、T根川君のあとに続き、階段を降りた。
店に入ってみて更に驚いた。
まず、店内は満員で入りきれないお客が列を作って待っている。
店はだいぶ盛況のようだ。
待機列の人波を掻き分け、A藤君が待つテーブルに着くまで昭和の様々なポスターが目に飛び込んでくるし、戦後の流行歌も間断なく流れ、耳に届く。まさに、「ALWAYS 三丁目の夕日」(監督・脚本:山崎貴、主演:吉岡秀隆 05年ALWAYS 三丁目の夕日製作委員会)だ。
しかも、旧い冷蔵庫がオブジェとして置かれているのだが、驚くことにその上には足が4脚ついた14インチテレビが飾られており、白黒の「鉄腕アトム」(原作:手塚治虫 虫プロダクション)が放映されているといった凝りっぷり。
いやはや恐れ入る。
さて、一人寂しくテーブル席に着くA藤君と合流し、我々も椅子に腰掛け生ビールを注文した。
生ビールは中ジョッキが350円、大ジョッキは450円といった布陣。ふむふむこの値段は比較的安い。やがて、大ジョッキが運ばれてきて分かったのだが、この店でいう大ジョッキは通常の店でいう中ジョッキの大きさである。中ジョッキの大きさは定かではないが、 やはり、それに準じて小さいのだろう。
突き出しには生キャベツが出てきた。
テーブルに常設されているソースを付けて食べるらしい。これはなかなかユニークだ。
つまみの種類は豊富。
20円から最高値が450円まで、そのどれもが安価なものばかりだ。
例えば、20円の「カレーせんべい」を頼んでみた。
透明な袋に親指ほどのカレー風味スナックが数十枚入ったそれは昔駄菓子屋で見たお菓子そのもの。これが袋ごと出される。
また、焼き鳥や臓物といった焼き物も充実している。
普通の焼き鳥メニューが並ぶ中、「カエル」というメニューが書き添えられている。
試しに頼んでみると、それは文字通り「蛙」の焼き物。値段は失念。
A藤君はしきりに「泥臭い」と言っていたが、まさか不忍池から採集してきたものじゃあるまいな。
一方、「昭和のトマトは砂糖で食べた」などというやたらと長ったらしい名前のメニューもある。要は砂糖をまぶしたトマトなのだが、いちいちこの長いメニュー名を叫ぶのも恥ずかしいし、と思いながら店員のお姉さんに注文した。
そこですかさず、A藤君、「ウチはトマトに砂糖かけますね」という。
ほう、トマトと砂糖って初めて聞いた。納豆に砂糖をかける、というのなら聞いたことあるが・・・・。などと言いあっていると、運ばれてきました、「昭和のトマトは砂糖で食べた」。
早速、口にしてみると、うむ?うむう!うむむ!?悪くはない。だが、ビールに合うかどうかはまた別問題でもある。
ちなみにA藤君は茨城県人だ。
さて、一息ついたところで、店内を見渡してみた。テーブル席についた我々の背後からは厨房をぐるりと囲むようにカウンター席が続く。おいらの視界に、ちょうどそのカウンター席の一部が見えるわけなのだが、入れ替わり立ち代り、その席にはまだ20歳そこそこの2人組の女性が席につく。まさか、女性専用の席ではないだろうが、既に3組目の女性同士が座った。店を眺めると圧倒的に女の子の比率が高い。
映画「ALWAYS 三丁目の夕日」は当初、団塊世代に向けたノスタルジー的郷愁を掻き立てる作品だったようだ。だが、「いざ蓋を開けてみると意外や意外若い世代の関心が高かったのは嬉しい誤算」などといった映画批評の記事をどこかで読んだ覚えがある。
じつは、この店「半兵ヱ」もその口だったのかもしれない。
ビール大ジョッキを4杯空けた頃、店員が「ラストオーダーです」と最終の注文を取りにきた。
未だに待つ客があとをたたず、あらかじめ2時間制という約束だったのだ。
勘定を払い終えた際、焼肉屋でそうするように、何故かこの店でも一人ひとつづつのガムをくれた。
みると、昔懐かしい「フェリックスガム」だった。
苺味の風船ガム。1個10円。
懐かしい~ね。こりゃ。
20数年ぶりに、そのガムを噛みながら、時折風船を作って酔いどれの街を歩くと、何も悩みがなかったあの頃がやけに懐かしく思えた。
今夜も東京はかなり冷え込む。
本格的な降りにはならないだろうが、金曜日の夜に小雪は具合悪い。
会社の同僚、T根川君と合流し、彼が「安い」と絶賛したお店に向かう途中、こんな寒い夜にも関わらず上野仲町通りのアーチをくぐると客引きの黒服がわんさと寄ってくるのだ。盛り場はいつでも人でごった返しているのである。
店はものすごい混みようで、昨年結婚したばかりの新婚野郎A藤君が既に先乗りしてテーブルを取っているという。果たして、どのような居酒屋なのか、期待は限りなく膨らんでいく。
しかし、上野の小さな飲み屋街は相変わらず猥雑だ。キャバクラと韓国料理屋と風俗店、そして普通の居酒屋が混在する、この通りは何かに憑かれたような空気さえ漂う。少し気を許すと、底なし沼のような堕落に溺れていくようだ。
そうして通りを歩いていくと、やがてT根川君が「安いっスよ」と案内してくれたお店へと辿り着くのだった。
店の入り口頭上には映画「青い山脈」(監督:西河克己、主演:吉永小百合 63年日活)のペンキ絵が掲げられている。
こ汚い大衆酒場をイメージしていたおいらは少し意表をつかれた。
どうやら、「ラーメン博物館」のような人工的に造った昭和レトロ風の居酒屋らしい。
なるほど、これはT根川君が好みそうなお店だ。店は地階にあるらしく、うす暗い螺旋状の階段を降りていくと、壁には東宝の古臭い映画ポスターなどが無造作に張ってあるなど演出が細かい。また、誰の唄かも分からないが、まだ自分が生まれる前の随分昔の流行歌のようなメロディが階段を降りる我々の耳元に聞こえてくる。その演出たるや、ちょっとしたディズニーランドのようでもある。
「ははぁ、これが最近巷を賑わせているテーマパーク型の店か」などと思いつつ、T根川君のあとに続き、階段を降りた。
店に入ってみて更に驚いた。
まず、店内は満員で入りきれないお客が列を作って待っている。
店はだいぶ盛況のようだ。
待機列の人波を掻き分け、A藤君が待つテーブルに着くまで昭和の様々なポスターが目に飛び込んでくるし、戦後の流行歌も間断なく流れ、耳に届く。まさに、「ALWAYS 三丁目の夕日」(監督・脚本:山崎貴、主演:吉岡秀隆 05年ALWAYS 三丁目の夕日製作委員会)だ。
しかも、旧い冷蔵庫がオブジェとして置かれているのだが、驚くことにその上には足が4脚ついた14インチテレビが飾られており、白黒の「鉄腕アトム」(原作:手塚治虫 虫プロダクション)が放映されているといった凝りっぷり。
いやはや恐れ入る。
さて、一人寂しくテーブル席に着くA藤君と合流し、我々も椅子に腰掛け生ビールを注文した。
生ビールは中ジョッキが350円、大ジョッキは450円といった布陣。ふむふむこの値段は比較的安い。やがて、大ジョッキが運ばれてきて分かったのだが、この店でいう大ジョッキは通常の店でいう中ジョッキの大きさである。中ジョッキの大きさは定かではないが、 やはり、それに準じて小さいのだろう。
突き出しには生キャベツが出てきた。
テーブルに常設されているソースを付けて食べるらしい。これはなかなかユニークだ。
つまみの種類は豊富。
20円から最高値が450円まで、そのどれもが安価なものばかりだ。
例えば、20円の「カレーせんべい」を頼んでみた。
透明な袋に親指ほどのカレー風味スナックが数十枚入ったそれは昔駄菓子屋で見たお菓子そのもの。これが袋ごと出される。
また、焼き鳥や臓物といった焼き物も充実している。
普通の焼き鳥メニューが並ぶ中、「カエル」というメニューが書き添えられている。
試しに頼んでみると、それは文字通り「蛙」の焼き物。値段は失念。
A藤君はしきりに「泥臭い」と言っていたが、まさか不忍池から採集してきたものじゃあるまいな。
一方、「昭和のトマトは砂糖で食べた」などというやたらと長ったらしい名前のメニューもある。要は砂糖をまぶしたトマトなのだが、いちいちこの長いメニュー名を叫ぶのも恥ずかしいし、と思いながら店員のお姉さんに注文した。
そこですかさず、A藤君、「ウチはトマトに砂糖かけますね」という。
ほう、トマトと砂糖って初めて聞いた。納豆に砂糖をかける、というのなら聞いたことあるが・・・・。などと言いあっていると、運ばれてきました、「昭和のトマトは砂糖で食べた」。
早速、口にしてみると、うむ?うむう!うむむ!?悪くはない。だが、ビールに合うかどうかはまた別問題でもある。
ちなみにA藤君は茨城県人だ。
さて、一息ついたところで、店内を見渡してみた。テーブル席についた我々の背後からは厨房をぐるりと囲むようにカウンター席が続く。おいらの視界に、ちょうどそのカウンター席の一部が見えるわけなのだが、入れ替わり立ち代り、その席にはまだ20歳そこそこの2人組の女性が席につく。まさか、女性専用の席ではないだろうが、既に3組目の女性同士が座った。店を眺めると圧倒的に女の子の比率が高い。
映画「ALWAYS 三丁目の夕日」は当初、団塊世代に向けたノスタルジー的郷愁を掻き立てる作品だったようだ。だが、「いざ蓋を開けてみると意外や意外若い世代の関心が高かったのは嬉しい誤算」などといった映画批評の記事をどこかで読んだ覚えがある。
じつは、この店「半兵ヱ」もその口だったのかもしれない。
ビール大ジョッキを4杯空けた頃、店員が「ラストオーダーです」と最終の注文を取りにきた。
未だに待つ客があとをたたず、あらかじめ2時間制という約束だったのだ。
勘定を払い終えた際、焼肉屋でそうするように、何故かこの店でも一人ひとつづつのガムをくれた。
みると、昔懐かしい「フェリックスガム」だった。
苺味の風船ガム。1個10円。
懐かしい~ね。こりゃ。
20数年ぶりに、そのガムを噛みながら、時折風船を作って酔いどれの街を歩くと、何も悩みがなかったあの頃がやけに懐かしく思えた。
懐かしくなります。
テーマ系のお店だから女性に人気があるのかもしれませんね。
最近、昭和のレトロさをイメージしたお店が増えてきているような気がします。
10円で長持ちするあのガムは「ビックリマンチョコ」を買えない子たちにとっては絶大な人気を誇っていました。
フェリックスガムと並んで人気だったのが、「フタバのフーセンガム」。4個の球状のガムが小箱に入っているというもの。これもやはり10円だったような気が・・・・。
個人的にはこのガム、好きではありませんでした。
顔面型の風船を作るにはガムの量が少なかったからです。
ところで、まき子さん、明日はどちらで飲み会でしょうか。
毎日ひまそーにしてるおいらなんですが、今週来週とちとヤバいかも。明日のホピ研行けるかなあ……。明日中にアップしなくても終るメドがついたら行けるんやけど……。
そう言っていただけるのも日ごろご一緒して普段のおいらを見てもらっているからですね。
いつも、ありがとうございます。
今日はどんな様子ですか?
あまり、無理しなくてもいいですよ。
髪の毛に絡まって、バッサリ切らざるを得なかった、
子供ながら女心を痛めた事件がありました・・・。
今日は湯島の方で飲みでございます~。
京橋は・・・びみょ~~な遠さですね(汗)。
お転婆っぷりが目に浮かぶようです。
さて、「まき子の酒」に昨夜久々に伺いました(ごめんなさい)が、相変わらず、様々な試みをされているようですね。単なる酒場巡りではなく、造り酒屋まで巡って飲む。しかも、人の出会いを感じながら・・・・。
スゴイっすねぇ。
まき子さんにあやかりたいものです。
さて、今宵の湯島はどこで飲んでいらっしゃるのでしょうか。
もしかして「シンスケ」?
実は今晩のホピ研は延期になりました。
多分、ホピ研始まって以来の出来事です。
次回はメンバーの都合上、当日招集するゲリラ的ホピ研になると思います。
そのときは一応、まき子さんにもメールで連絡します。
前回ホピ研初参加のときもバタバタしたんですけど、今回も同じクライアントの仕事でドタバタ。
ヒマよかいいんですけどねー。
ゲリラホピ研、まってますよ!
ちょっと胃腸も休めたかったし。
と、言いつつ家で焼酎4杯くらい飲んだけれど。
さて、いつにねるか次回のホピ研。
行きますよ~っ!
そうしたら、ボクが皆様にメールしましょう。
もちろん、会場もオイラのホームグラウンドで。
中国のネタ期待しています。