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居酒屋さすらい 1211 - 大衆酒場の完成形 - 「一平」(船橋市本町)

2017-08-22 22:04:09 | 居酒屋さすらい ◆地方版
アルミサッシの扉はどう贔屓目に見ても、風格など感じない。看板はなく、団十郎茶の暖簾に、かろうじて店名が入っている。
 
だが、ボクは店の前で、武者震いがしてきた。
 
「やっと、辿り着いたか」。
 
近くて、遠い船橋。
東京メトロの西船橋から、JRに乗り換えなければいけない、その難儀さ。たった一駅なのだが、それが厚い壁になって、ボクの前に立ちはだかってきた。
 
昨年、「居酒屋さすらい」1000回突破を記念して実施した、愛読者プレゼントでご一緒させてもらったいっぺいさんが永年に渡り贔屓にしてきた店、「一平」。その話しをきいてから、早く訪問を果たしたいと切に願ってきた店に、今ようやく辿り着いた。
 
サッシの向こう側から、人の声が聞こえてくる。多くの客が飲んでいるのだろう。昼下がりの酒場。
 
扉を開けると、すぐ直下にもう人がいて、飲んでいた。席は満席だった。全席カウンター。その光景は圧巻である。
奥にいる店員が指をさす。「こっちに来て」と。てっきりコの字カウンターだと思っていたが、店舗左側奥にカウンターはせり出している。微かな隙間を這うようにして、横歩きしながら、店の奥へと進むと、うん、確かに席がひとつだけ空いていた。
 
席につくと同時に沸き起こるワクワク感。これだ、これこれ。いい酒場は躰が勝手に反応する。前を向いた目線に、たくさんの短冊メニューが飛び込んでくる。これでワクワクしてこない酒飲みがいたら、教えてほしい。
 
迷うことなく、「酎ハイ」(250円)と「名代 牛煮込み」(280円)をオーダー。
すると店員は、歌うような節回しで、「ぼぅぅぅるぅぅぅ」と厨房に返した。
 
デフォルトでレモンが入る「酎ハイ」。
うまい。

「牛煮込み」。
汁少なめのたたずまいは、まるでビーフシチュー。とろとろの牛肉はホロホロと口の中で溶けていく。圧倒的なうまさ。
「牛煮込み」で思い出すのは、北千住の「大はし」。あの有名な煮込みが霞んでしまう。

うまいよ。
酒がすすむ、すすむ。
 
「赤ウィンナー」。
こんな、素朴なメニューもあるのか。
うん。うまい。
 
「マカロニサラダ」。
手作りとの表記がある一品。
うまい。
 

ふと、向かい側に座る男性が気になった。50代半ばの細面の男性の顔に見覚えがあった。どこで、あったのだろう。
もしや、「増やま」で?
いっぺいさんと行った、「増やま」で、正面に座っていた、あの男性ではないか。いっぺいさんは、「あのひとも『一平』の常連さん」と教えてくれたっけ。
多分、その紳士に間違いないだろう。
また、「一平」に戻ってきたのだろうか。それとも、両店をうまく使いわけているのだろうか。
 
多くのファンがつく「一平」に、どんな変化が起きたのか、ボクは知らない。だから、「増やま」と比較して、この文章を仕上げようなどというのは、失礼なことだと思う。
 
ありのままに書けば、ボクは「一平」に魅了された。
この店がオリジン。大衆酒場のひとつの到達点であり、完成形だと思う。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ひざげり)
2017-08-23 07:11:23
一平の方がメニューのバリエーション多いですよね。

何となくですが、一平では増やまの話はしない方が良い感じです。
仲が悪い訳では無いみたいなのですが。

返信する
Unknown (熊猫)
2017-08-23 13:34:39
ホワイトボードに書かれたメニューもたくさんあって、悩ましいですね。

船橋に行った際、「一平」に行くか、「増やま」にするか、それもまた悩ましいです。
返信する
「一平」と「増やま」 (いっぺい)
2017-08-25 09:02:19
自分のハンドルネームが出てきて驚きました(笑

10年以上前から「一平」に通っていましたが,いろいろあって足が遠のき,「増やま」ができてからは,そちらか「花生食堂」が船橋での定番ですね~

そういえば「増やま」という店名もご主人の名前では無いような気がします。ご主人はもともと「一平」の常連で,のちに「一平」の従業員になって,その後独立されたという流れです。

余談ですがmixiの「一平」コミュで「一平Tシャツ」を作ったことがあるのですが,その時の作成者も「増やま」のご主人です。

と,語りだせばいくらでも?ネタはあるのですが,それままたご一緒したときにでも。
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Unknown (熊猫)
2017-08-25 13:06:33
いっぺいさん、こんにちは。

いっぺいさんのお名前出すと、ご迷惑をおかけすることになるかと思って悩みましたが、自分で開拓したお店でないので、書かせていただきました。

すみません。

たくさんの情報、ありがとうございます。

いっぺいさんとお会いしてから、もう1年3ヶ月が経ちました。はやいもんです。
ようやく「一平」に来ることができました。

「一平」の歴史を知らないよそもんですが、率直な感想として、「一平」は予想以上に良かったです。雰囲気、肴、レベルが高い。
これを踏まえて、「増やま」がある。自分の中の認識をそのように整理しました。
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Unknown (ひざげり)
2017-08-28 07:14:40
「増やま」は店主が子供の頃に通っていた駄菓子屋の名前で、大人の駄菓子屋にしたかったからとか。

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Unknown (熊猫)
2017-08-28 15:53:31
ひざげりさん。
こんにちは。

いやはや、よくご存知ですね。
よほど、近しくおつきあいしてなければ、聞けない情報ですね。

ありがとうございます。

しかし、「増やま」の由来になった駄菓子屋さん、渋い店名です。
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Unknown (ひざげり)
2017-08-29 07:17:14
いえ、全く親しいわけでは無く、ネットニュースか何かで見ただけですw
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Unknown (熊猫)
2017-08-29 22:05:43
それでも、その情報収集力には感服します。

でも、こう考えると、子どもの頃の駄菓子屋体験て、貴重な時間ですね。

ボクは苦い思い出ばかりが、残ってます。
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