朝起きるとものの見事に二日酔いだった。
それはそうだろう。
蕎麦屋を含めて4軒の店で酒を飲み、しかもふらいんぐふりーまん師の家でもしこたま飲んだ。彼が作った特製のハイボールがおいしくて、ついつい飲み過ぎ、夜中にインド南部の男性が身にまとうルンギーを着用して銭湯に行こうと騒ぎを起こしたのである。
そんな朝、けだるい体を起こして、半分二日酔いの頭を抱えながら、ボクらは自転車に乗って出かけた。
銀閣寺に。
10月の空はとても高く、でもまだ紅葉には少し早いようだった。
自転車で快走していると、「EBISU」の看板が見え、抹茶色の暖簾が粋な酒屋に出くわした。
上田酒店といい、座り飲みらしいがどうやら角打ちのようだ。
これはいい。
自転車を置いて、店に入ると、おばちゃんがいた。
「入ってもいいですか?」と尋ねると、おばちゃんはやや間があって、「飲むの?」と聞く。もちろん、そのつもりだったから「ええ」と答えると、おばちゃんは「ウチは17時からだから」と素っ気なく返答した。
京都人の冷たさに思わず戦慄が走った。これか、よそ者にとてつもなく冷たいという京都人気質は。
ボクらは、自転車に乗って、再び快走しようとした瞬間、アメリカナイズした店をすぐさま発見したのである。
「SPEAK EASY」。
一見、ステーキハウスのように見える。
黒木の古いテーブル、コーヒーの薫り。なんとなく埃っぽい感じだけれど、清潔感はある。
これ、この雰囲気。アメリカ映画に出てくる、ドライブイン。
やにわに主人公がホットドッグを注文して、「オニオンとマスタードをたっぷりな」と言いそうな。
メニュー表を繰る。いや繰ったつもり。
だって、ここが有名なバーガーショップだなんて、店を出ても知らなかったほどだから。
ボクと師はギネスをパイントで。スナックはナチョス。もちろん、チーズつきで。
おいしい。
秋の京都の朝に、コーヒー薫る店で飲むギネス。
多分、この非日常感がいいんだろうな。
1日1食ダイエットを始めてちょうど3か月。それも今日でおしまいだ。
だったら、この店の巨大で本物のハンバーガーを食べろって?
そう、もっと早くそれに気づけばよかったよ。
この店がハンバーガーショップだって言わなかったっけ?
しかし、あの酒屋のおばちゃんは冷たかったな。
ただ、あれは京都人らしい冷たさとは全く異なるものだよ。あのおばちゃんは、ただ単に接客の仕方が分かっていない冷たさ、というか客あしらいとしてほんと最低だったからね。
京都人のよそ者に対する冷たさはもっと陰湿だ。京都人にしか分からない皮肉や嫌味で、相手に分からず攻撃するというのがパターンだからね。
ニコニコしながら、相手に分からない皮肉で攻撃、ホント恐ろしい腹黒さだよ。
長い間都だったことによる、無駄な気位の高さが、こういう超上から目線的な態度をはぐくんだんだろうね。
まあ、今は京都人もそんな人は限りなく少なくなってるんじゃないかなあ。
ちなみに俺は未だに、東京は東の京都(だから東京都)本物はこっちと、超上から目線で思ってるけどね。
バーガーショップだなんて言ってないぜ。
鬼飛ブログのバックナンバーを見ると「喫茶店」となっているし。
上田酒店のおばちゃんの反応は京都人気質ではなかったか。
それにつけても、あの対応は今でも忘れられないよ。
MJ
年末年始は京都か。
最近、お呼びがないからさみしいよ。
東京でも飲もうぜ。
それでは、よいお年を!