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東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅を降りた。
地上に出ると大通りが交差し、向こうには首都高速の高架が見えている。
想像していたのは下町風情のゆったりとした風景。ひっきりなしに行き交うクルマの列を眺め、やや拍子抜けした。
わたしは新たな旅に出てきた。それは、立ち飲み屋を巡る鉄道の旅。
そう、会社から自宅まで帰る鉄道沿線に各駅下車して、立ち飲み屋をめぐる「立ち飲みラリー」の新たなる出発だ。
次なる旅立ちに向けて、わたしが選んだのは都電である。
妻と子が不在のこのときを狙って、壮大なテーマに挑んでみようか。そこで考えたのが、都電荒川線だ。
都内唯一にして最後の東京都交通局の路面電車。台東区の三ノ輪から新宿区の早稲田まで全長12.2キロメートルの旅を行ってみようと思ったのである。
とりあえず、わたしは一風呂浴びようと三ノ輪の商店街、ジョイフル三ノ輪の老舗湯「大勝湯」で、汗を流した。
この日は二十四節で言うところの「大暑」。
一年で最も暑い日とされているとおり、かなり蒸し暑い。
「大勝湯」の番台のおばちゃんに「暑いから気を付けて」と言葉をかけられ、湯をあとにしたわたしは、ジョイフル三ノ輪の下町風情をみて、立ち飲み屋は意外と簡単に見つかるだろう、と高をくくっていた。
だが、予想に反して立ち飲み屋はおろか、居酒屋すらなかなか探すことはできなかったのである。
ジョイフル三ノ輪の端から端まで歩いたが見つからず、「大関横町」と書いてある標識を目指して、そちらへ向かったが、そこには下町情緒あふれる横丁があるわけでもなく(黒羽藩下屋敷へ通じる道(現在の明治通り)の俗称)イトーヨーカドーの繁華な通りで立ち飲み屋を探すが見つからず、明治通りを越えて、スーパーの「オリンピック」の向こう側も歩いたが、結局立ち飲みの姿形すら見かけることはなかった。
1時間以上は探し回っただろうか。結局、わたしは喉がカラカラになり、疲れ果て、ほうほうの体で一軒の居酒屋になだれ込んでしまったのだった。
しかし、実はその店、焼肉屋さんだったのである。
店舗には提灯がぶら下がり、どうにもこうにも居酒屋とばかり思って入ってみたものの店内に居た2名の客は七輪を囲み、肉を焼きながら会社の上司の悪口を囁いていたのであった。
「これはいかん」と思ったが後の祭り。
気がつけば、わたしは店のお姉さんに「中生ビ~ル」(原文ママ=490円)を頼んでいたのである。
しかし、このサッポロビールがまたうまかったのである。
たっぷりと小一時間歩きに歩き、しかもこのうだるような暑さである。体内の水分の4%(推定)を失った後のビールがなんとも言えず、焼肉屋に入ってしまった後悔もすっかり忘れてしまったのである。
しかし、殺風景な店内だった。
やや昭和レトロを狙ったのだろうか。壁には古いビールのポスターやスズキの「スズライト」だったろうか、古いクルマのパンフレットのコピーが雑然と貼られているのである。
趣味はあまりよいとは感じられなかった。
ビールと共に運ばれた「無料サービス」という枝豆をかじりながら、これまたセンスの悪い品書きを目にし、ふと反応したのが「煮込み」の文字。早速、お姉さんにオーダーしてみた。
しばらくして、出てきたのは汁なしの「煮込み」。早速食べてみると赤味噌の甘い「煮込み」だった。実は、後日同店のHPを覗いてみるとメニューに「名古屋のもつ煮込み」(680円)なるものを発見した。これが恐らく、あのとき食べたものだろう。
やはり、そうだったか。わたしは、その甘い味噌を八丁味噌と踏んでいたのだが。やはりそうだったか、小癪な。
とにかく、わたしはこの甘味噌のオーソドックスな「煮込み」とは異なるものがあまり好きではないのだ。しかも、豆腐が冷たいときている。やはり、解凍ものだな?
ちなみに、HPにはこんなメニューも記されている。
「牛もつ白みそ煮込み」(680円)。
まさに、コレではないか。あの日、わたしが欲していたものは。
だが、当時のメニュー表には、そんなものは書いていなかった。
たった一言「煮込み」の文字しかなかったのである。
さて、「煮込み」をなんとかやっつけた頃には、わたしはすっかり意気消沈していた。
何でこの店に入ってしまったかを。
焼肉屋に入るのなら、何故三ノ輪で有名な「炭火焼 七厘」に入らなかったのだろうか。或いは、居酒屋に入るのであれば、これもまた有名な「弁慶」に入らなかったのだろうか、と。
しかし、これもまた運命。
なんとか、楽しんでみようと思ったのだが、これが全然楽しくない。
先客の2人組はしんみりと肉を焼きながら、相変わらず上司の噂話に余念がない。
アルバイトと思しき、お店のお姉さんはうつむきながらわたしの斜め後ろにぽつねんと立っている。
店の雰囲気は暗くて思い。一言で言えば「しけている」のだ。
わたしは、酎ハイと「三色ナムル」(380円)を頼んだ。
酎ハイは恐らくサッポロ製。この甘さは自家製ではない。
しんみりとした雰囲気の中で、わたしは一気にそれらをたいらげ、店を出た。
立ち飲みラリー都電編、波乱のスタートである。
いきなり、始発の三ノ輪橋で立ち飲み屋を見つけることができなかったのだ。
地上に出ると大通りが交差し、向こうには首都高速の高架が見えている。
想像していたのは下町風情のゆったりとした風景。ひっきりなしに行き交うクルマの列を眺め、やや拍子抜けした。
わたしは新たな旅に出てきた。それは、立ち飲み屋を巡る鉄道の旅。
そう、会社から自宅まで帰る鉄道沿線に各駅下車して、立ち飲み屋をめぐる「立ち飲みラリー」の新たなる出発だ。
次なる旅立ちに向けて、わたしが選んだのは都電である。
妻と子が不在のこのときを狙って、壮大なテーマに挑んでみようか。そこで考えたのが、都電荒川線だ。
都内唯一にして最後の東京都交通局の路面電車。台東区の三ノ輪から新宿区の早稲田まで全長12.2キロメートルの旅を行ってみようと思ったのである。
とりあえず、わたしは一風呂浴びようと三ノ輪の商店街、ジョイフル三ノ輪の老舗湯「大勝湯」で、汗を流した。
この日は二十四節で言うところの「大暑」。
一年で最も暑い日とされているとおり、かなり蒸し暑い。
「大勝湯」の番台のおばちゃんに「暑いから気を付けて」と言葉をかけられ、湯をあとにしたわたしは、ジョイフル三ノ輪の下町風情をみて、立ち飲み屋は意外と簡単に見つかるだろう、と高をくくっていた。
だが、予想に反して立ち飲み屋はおろか、居酒屋すらなかなか探すことはできなかったのである。
ジョイフル三ノ輪の端から端まで歩いたが見つからず、「大関横町」と書いてある標識を目指して、そちらへ向かったが、そこには下町情緒あふれる横丁があるわけでもなく(黒羽藩下屋敷へ通じる道(現在の明治通り)の俗称)イトーヨーカドーの繁華な通りで立ち飲み屋を探すが見つからず、明治通りを越えて、スーパーの「オリンピック」の向こう側も歩いたが、結局立ち飲みの姿形すら見かけることはなかった。
1時間以上は探し回っただろうか。結局、わたしは喉がカラカラになり、疲れ果て、ほうほうの体で一軒の居酒屋になだれ込んでしまったのだった。
しかし、実はその店、焼肉屋さんだったのである。
店舗には提灯がぶら下がり、どうにもこうにも居酒屋とばかり思って入ってみたものの店内に居た2名の客は七輪を囲み、肉を焼きながら会社の上司の悪口を囁いていたのであった。
「これはいかん」と思ったが後の祭り。
気がつけば、わたしは店のお姉さんに「中生ビ~ル」(原文ママ=490円)を頼んでいたのである。
しかし、このサッポロビールがまたうまかったのである。
たっぷりと小一時間歩きに歩き、しかもこのうだるような暑さである。体内の水分の4%(推定)を失った後のビールがなんとも言えず、焼肉屋に入ってしまった後悔もすっかり忘れてしまったのである。
しかし、殺風景な店内だった。
やや昭和レトロを狙ったのだろうか。壁には古いビールのポスターやスズキの「スズライト」だったろうか、古いクルマのパンフレットのコピーが雑然と貼られているのである。
趣味はあまりよいとは感じられなかった。
ビールと共に運ばれた「無料サービス」という枝豆をかじりながら、これまたセンスの悪い品書きを目にし、ふと反応したのが「煮込み」の文字。早速、お姉さんにオーダーしてみた。
しばらくして、出てきたのは汁なしの「煮込み」。早速食べてみると赤味噌の甘い「煮込み」だった。実は、後日同店のHPを覗いてみるとメニューに「名古屋のもつ煮込み」(680円)なるものを発見した。これが恐らく、あのとき食べたものだろう。
やはり、そうだったか。わたしは、その甘い味噌を八丁味噌と踏んでいたのだが。やはりそうだったか、小癪な。
とにかく、わたしはこの甘味噌のオーソドックスな「煮込み」とは異なるものがあまり好きではないのだ。しかも、豆腐が冷たいときている。やはり、解凍ものだな?
ちなみに、HPにはこんなメニューも記されている。
「牛もつ白みそ煮込み」(680円)。
まさに、コレではないか。あの日、わたしが欲していたものは。
だが、当時のメニュー表には、そんなものは書いていなかった。
たった一言「煮込み」の文字しかなかったのである。
さて、「煮込み」をなんとかやっつけた頃には、わたしはすっかり意気消沈していた。
何でこの店に入ってしまったかを。
焼肉屋に入るのなら、何故三ノ輪で有名な「炭火焼 七厘」に入らなかったのだろうか。或いは、居酒屋に入るのであれば、これもまた有名な「弁慶」に入らなかったのだろうか、と。
しかし、これもまた運命。
なんとか、楽しんでみようと思ったのだが、これが全然楽しくない。
先客の2人組はしんみりと肉を焼きながら、相変わらず上司の噂話に余念がない。
アルバイトと思しき、お店のお姉さんはうつむきながらわたしの斜め後ろにぽつねんと立っている。
店の雰囲気は暗くて思い。一言で言えば「しけている」のだ。
わたしは、酎ハイと「三色ナムル」(380円)を頼んだ。
酎ハイは恐らくサッポロ製。この甘さは自家製ではない。
しんみりとした雰囲気の中で、わたしは一気にそれらをたいらげ、店を出た。
立ち飲みラリー都電編、波乱のスタートである。
いきなり、始発の三ノ輪橋で立ち飲み屋を見つけることができなかったのだ。
やっぱり「名古屋」なんて印象になってしまうのですね。。。
本当の名古屋の八丁味噌の味は、確かに「濃い」ですが、
甘く味付けすることはないのです~。
(たぶん・・少なくとも、私が生まれ育った周辺では・・・)
甘辛の汁なし煮込みを食べると、『ん?名古屋か?』と思ってしまうんですよ。
ちょっと、研究が必要ですね。
甘辛の汁なし煮込みのルーツを探ってみるのも面白いかもしれません。
今年もわが社の忘年会の後、二次会で合流?
三ノ輪の駅ではないですが、荒川区役所のすぐ近くに「なごみ」という立ち飲み屋があったかと思います。私も訪問したいところですが、事情により訪問できないので、確認に行っていただけると大変嬉しく思います。
都電沿線の立ち飲みはなかなか難しいと思いますよ。立ち飲み過疎地も多いですし。
駄文をば失礼致しました。
お察しの通り、立ち飲みラリー都電編は大変苦戦しています。なにしろNO.0209で現存しない立ち飲み屋を巡り、三ノ輪橋駅の店としたくらいですから。
「なごみ」の件、承知しました。
ただ、わたしも今は自由に飲みに行くことができない身の上、なかなか訪問が叶わないかもしれませんが、気長におお待ちいただければと思います。
貴重な情報、ありがとうございました。
今後とも、情報の交換なども含めどうぞよろしくお願いしますね。
長文ばかりのブログですみません。
ゆみりんさんが開店予定のお店は立ち飲みですか?
それは非常に楽しみですね。
さて、わたくしは素人なのでアドバイスが一般的なものであるかは分かりませんが、わたしが飲んでいて「楽しいなぁ」「また来たいなぁ」という立ち飲み屋さんはやはりその「雰囲気」ですね。
「雰囲気」というとなんか抽象的ですが、お店の人となりが店の「雰囲気」にもやはり出てしまうものだと思うのです。
心遣いができる人のお店には、やはりそういうお客さんが来て、知らず知らずのうちに店の雰囲気に助け合いの精神の空気がでてきたり、一見のお客も話しの輪に自然に入れるお店になるような気がします。
また、そうでない人のお店は常連ばかりが集まり、なかなか入りづらい雰囲気を醸して、排他的な店になるような気がするんです。
僅か1000円から2000円のお金で幸せな気分になれるか、あまり楽しめない酒になるか、その差は大きいと思います。
また、酒肴はできるだけ手作りがいいです。「頑張っているなぁ」と思わせるだけで、効果はだいぶ違うと思います。そしてもうひとつが「おいしいお酒がある」こと。
日本酒、焼酎ともに、「これは!」という銘柄を1本でも入れておくと「おぉ!」とわたしは感動します。
過日、末広町の「DELI TAKU」という立ち飲み屋を訪問しました。
手探りからお店を開店したというお姉さんがいらっしゃって、お話しを伺いました。いろいろ研究されているようで、「カウンターの高さが●cmがいいと聞いたので、それに合わせました」(具体的な数字は失念してしまいました)とか「アサヒのチューハイ倶楽部は甘いのでやめてソーダを某商品の銘柄にしました」などいろいろ頑張られている様子がひしひしと伝わってきました。
わたしはその頑張っている姿を見て、非常に感銘を受けました。そうして、お店は改善されていくものと思います。
やはり、お店はお客と作っていくものなのだと思った次第です。
「居酒屋礼賛」を主宰する浜田信郎さんも著書「ひとり呑み」(WAVE出版)でこう言っています。
「はやっている酒場はもうけようという気持ちよりも客に楽しんでもらおうという気持ちのほうが強い」。
抽象的ではありますが、真心なのでしょうか。
是非、お店が開店したら、ご一報ください。
お邪魔させていただきます!
>私はあることから突然居酒屋を開くことになりつつあるんですが、
その境遇がすっごい気になるところではありますが、今は何も聞きません(笑)。
居酒屋が大好きなわたしですが、居酒屋を経営する可能性は恐らくこの先ずっとないと思います。
先日は、生意気にもご意見してしまいましたが、わたしがそれを実践することはできないでしょう。だから本来、意見する資格などないのですが…、と思い少し反省しました。
とにかく応援しています。
そして、開店の暁には是非お知らせください。開店当日に駆けつけます!