今、取引のある印刷屋さんはかつて最もご縁のない会社だった。コストはちょっと高いが、その分信頼性がある。古巣の会社の方針はとにかく安い印刷屋に出せ! だったが、自分は反対した。価格競争は依頼する方も請ける方も疲弊する。その結果、事故が起こる可能性が高くなる。だから、信頼できるところを優先した。その印刷屋さんに時々足を運ぶ。納本がある時とどうしても現物を持っていかなければならない時。今回は年賀状の印刷をお願いし、葉書を持参した。
江戸川橋にはちょっとした商店街があるが、酒場は少なかったし、立ち飲み屋はない。ここはもう、神楽坂まで足を伸ばしてみようかと思った。時間がないから、事前に調べておいた立ち飲み屋に向かう。お店の名前は「カド」。ネット情報では古民家をリノベーションしたとあった。
道すがら、犬と入店できる立ち飲みバーなる店を発見した。犬が居なくても入れるのだろうかとちょっと気になったがスルー。今度、誰かに犬を借りて、行ってみようか。
しばらく歩いて、「カド」に到着したが、その重厚な佇まいに圧倒された。ものすごい存在感と威圧感。玄関にぼんやりと灯る電灯が、あっという間に自分を違う世界に誘う。2階はとんかつ屋さん。1階がお目当ての「カド」だ。恐る恐る敷地内に入り、正面の戸を開け放つと、どうも勝手が違う。立ち飲みと座飲みがあるらしいので、正面玄関はどうも後者らしい。その右手にもう一つ入口があり、そちらを開けてみると、そこが立ち飲みだった。
土間というか三和土である。四畳半くらいの小さなスペースだ。どうも注文は厨房に繋がる正面の窓で告げればいいのだろう。飲みもののメニューはその窓の横にあり、フードメニューは家の壁にチョークみたいなもので直接書かれている。まずは、「酎ハイ」(400円)で小手調べだ。
実は後で知ったのだが、「ホッピー」もあるらしい。「酎ハイ」にばかり目がいって、「ホッピー」が見えてなかった。
おつまみは300円均一。しかも税込というのが素晴らしい。おつまみは豊富で、しかも酒飲みの好きなものが揃っている。
「マカロニサラダ」(300円)でスタート。
壁に付いた小さなテーブルで立ち飲むのだが、この壁は古民家当時のままで、これがいい味を出している。画像に撮ると、まるでテクスチャーのよう。肝心の料理の味も抜群だ。
さて、2杯目は日本酒にしようと決めていた。和食のあてが多い店は日本酒も充実している。いつも通り、お店の人に、「一番辛いのは?」と尋ねると、「日高見超辛口純米」(900円)と返ってきた。超辛口か、期待できそうだ。つまみは「揚げ出し豆腐」(300円)。酒もうまいが、あてもいい。これはちょっとご機嫌なお店じゃないか。日本酒はそれなりの値段だが、料理の領域の広さと値段は近年行った立ち飲みでもダントツのクオリティかも。
最後のもう一杯としてチョイスしたのが、「麓井 美酒辛口」(500円)。これは辛口というよりも値段でオーダーしてしまった。つまみも最後の一品、「牛筋煮込み」(300円)で。本当は2品でやめておこうと思ったが、あまりにも料理がおいしいものだから、ついつい。
居酒屋アワード立ち飲み編はここ2年、田町の「宗屋」が受賞していて、ほぼ無風状態だったが、ここにきて、その「宗屋」を脅かすお店が突然現れた。それほどの衝撃である。
古民家を活かしたお店作りも大成功。濃密な時間が流れ、厳かな雰囲気に酔う。このお店は必ずや、再訪するだろう。
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