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オレたちの「深夜特急」~ラオス編  ルアンパバン ⑥~

2010-08-25 22:22:11 | オレたちの「深夜特急」
ルアンパバンの穏やかな気候と人びとに、つい居心地がよく気がつけば瞬く間に10日間もの日にちを過ごしていた。
効き過ぎるガンジャとすっきりとうまいビアラオの生ビールがまたルアンパバンの沈没を手助けしていた。
わたしはすっかり根が生えてしまったようにこの古都の町から動けなくなってしまったのだ。したがって、わたしは旅の行程を描くのをぱたりとしなくなった。

宿に着くバックパッカーはルアンパバンに着くと慌ただしくビエンチャンに向かう者がほとんどで、わたしは彼らを何人も何人も見送っていた。たいがいの者は15日間のヴィザしか持っていなかったのだ。
だが、わたしはどういうわけか1ヵ月間のヴィザを取ることができた。そのため、行程的にも余裕があったのだが、どうにもこうにも全く動きたくなくなってしまったのだ。

例えば、ラオスの北部に行くこともできただろう。
ガイドブックにもほとんど載っていないラオスの北部はこれまで通ってきたわたしの旅路の中でもとりわけ興味深いものになるだろうと踏んでいた。果たして外国人が泊まれる宿泊施設があるのか、一抹の不安はあったが、バックパッカーに荒らされていない地への魅力はわたしを奮いたたせてもくれた。
だが、どういうわけかルアンパバンに来てからというもの、ラオスを一ヶ月かけてまわろうという意欲が失せてしまったのだ。

日本を出て5ヵ月が過ぎようとしていた。
わたしはもはや旅が日常になりつつあった。
ここまで、わたしはただただ好奇心にだけ突き動かされてきたといっていい。
それは、たとえアジアの土になろうとも地の果てまで見てやろうという気持ちであった。
その好奇心がわたしの心の中から消えてしまおうとしている。
わたしはとても沈鬱な気持ちになった。
旅が単なる惰性になりつつあったからだ。

そろそろ旅立つときではないか。
しかし、一体どこへ。
ラオスの北側を目指してみようか。
フアパンやポンサーリーに向かってみようか。
それともヴェトナムの国境を目指して、淡水に住むイルカを見にみってみようか。

その日の午後、ルアンパバンのバスチケットの売り場に行ってみることにした。
だが、北部の町へ行くバスは毎日出ているわけではないようだった。
このままビエンチャンに行ってしまおうか。
そして、そこからラオス東部に進んでもいいのではないだろうか。

わたしはチケット売り場でほぼ衝動買いに近い形でビエンチャン行きのチケットを購入した。
明日の早朝に発つバス。
これからわたしはしばし東に行くことになる。
西の果てのロンドンまでいったいどれくらいの時間を費やせば行けるのだろうか。

その日、わたしは友人に宛てた手紙を書いた。わたしは、自分を奮い立たせるつもりで、こんな言葉を文末にしたためた。
「アジアの風よ。もっと熱くオレに吹いてくれ」。


※当コーナーは、親愛なる友人、ふらいんぐふりーまん師と同時進行形式で書き綴っています。並行して語られる物語として鬼飛(おにとび)ブログと合わせて読むと2度おいしいです。
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2 コメント

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沈殿 (ふらいんぐふりーまん)
2010-08-28 01:16:22

沈殿してるねえ・・・。

しかし、旅での沈殿もまた旅の一つの形。

長く旅すると、移動に疲れたり、居所を変えていくという旅の意味を考えたりして、停滞する事もあるよね。

さて、ビエンチャンでの師には、果たしてどんなことがあるんだろうね。

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ルアンパバン (熊猫刑事)
2010-08-28 07:44:19
当時のラオスで、気軽に行けるところといったら、ルアンパバンかビエンチャンくらいだったと思う。

今、ネットで調べるとけっこういろいろ行けるみたいだね。
交通事情もだいぶよくなってるみたいだし。

でも、このなかなかか行けない当時に行かなくてどうする!って今になって思うんだよ。

すごい後悔している。

次回からビエンチャンの巻だ。
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