大学の入試試験の二次である面接が終わって、池袋に着いた。
ボクは面接官にやり込められ、防戦一方で帰宅の途についていた。
正直言って、大学は落ちたな、と思った。
仕方がない。入学して、卒業後の自分の将来を描いていなかったのだから、自分にこの大学へ入る資格がなかったのだ。
だが、落ちたなと予感すると、なんだか急に悔しくなる。そんな複雑な思いを抱えて、真っ直ぐに家に帰れようはずもない。
そう思って、わたしは池袋でちょっとした酒場を求めて歩いていたのだ。
池袋駅の西側に出て、酒場を物色した。
この半年ばかりで低価格の居酒屋が多くなったと思う。
そして、自ら焼くホルモン系の酒場も急増している。
さらに、わたしを驚かせたのが、新橋で多店舗展開を図っている「魚金」がこの地でも一大勢力として君臨していることである。
だが、そうは言いながらもホルモン系にも「魚金」にも行く気はなく、しばらく界隈を散策していると豊田屋の店舗が見えてきた。一瞬、入店しようかなと思ったが、今日のわたしは精神的にまいっていたので、ひとりで勝手にくつろげるところがいいかなと考えていた。
そこで、もうしばらく界隈を散策していると「十字路」という居酒屋を見つけた。
こじんまりとした小さな店で中をのぞくと、中は客がおらず、ゆっくりできそうなので入ってみることにした。
折り畳みができる小さな椅子が置いてある。この椅子は転び立ち飲みでよく見かけるのだが、この店も果たして転向した居酒屋なのだろうか。
店のマスターと思しき男性に「生ビール」を頼んだ。
一緒に肴を頼もうと思ったが、マスターがそそくさと踵を返して厨房に行こうとしたのを見て、わたしは一瞬躊躇してしまった。
マスターが生ビールを持ってくると、彼は「代金と引き換えです」と小さな声で言った。
ははぁ、キャッシュオンデリということを聞いてこの店が以前立ち飲み屋であったことを確信した。
やっぱり転び立ち飲みだったか!
さて、マスターがビールを持ってくると同時に、わたしは酒肴のオーダーを行った。
「煮込みをください」。
わたしがそう言うと、とても信じがたい返事が返ってきた。
「まだ作ってる途中なんです」。
え?
だってあと10分で18時じゃない!
この時間に「煮込み」を調理中というのは怠慢じゃないの?
しかも、その後店のマスターは悪びれる様子もなく、厨房に去っていってしまった。
ちょっと待てよ!
「煮込みはあと○分で出来ますが、お待ちいただけますか」とか「煮込みはもうしばらくかかります。ポテトサラダならすぐにお出しできます」とか「今日は刺身のいいのが入ってます。いかがですかね」とかいう提案はないんかい!
わたしは、その後しばし放置プレイ。
大音量のテレビとJポップが騒音のようにけたたましくなる店内で、わたしは悲しい気持ちになり、つまみのないままスーパードライを飲んだ。そして、その1杯を飲み干し、店を後にした。
一応、マスターは「ありがとうございました」とお礼は忘れなかったが、気分よく飲めたとはいえない。むしろ1杯500円のビールが高く感じたほどだ。
気持ちよく、お客に飲んでもらおうという気概が感じられないお店だった。
ボクは面接官にやり込められ、防戦一方で帰宅の途についていた。
正直言って、大学は落ちたな、と思った。
仕方がない。入学して、卒業後の自分の将来を描いていなかったのだから、自分にこの大学へ入る資格がなかったのだ。
だが、落ちたなと予感すると、なんだか急に悔しくなる。そんな複雑な思いを抱えて、真っ直ぐに家に帰れようはずもない。
そう思って、わたしは池袋でちょっとした酒場を求めて歩いていたのだ。
池袋駅の西側に出て、酒場を物色した。
この半年ばかりで低価格の居酒屋が多くなったと思う。
そして、自ら焼くホルモン系の酒場も急増している。
さらに、わたしを驚かせたのが、新橋で多店舗展開を図っている「魚金」がこの地でも一大勢力として君臨していることである。
だが、そうは言いながらもホルモン系にも「魚金」にも行く気はなく、しばらく界隈を散策していると豊田屋の店舗が見えてきた。一瞬、入店しようかなと思ったが、今日のわたしは精神的にまいっていたので、ひとりで勝手にくつろげるところがいいかなと考えていた。
そこで、もうしばらく界隈を散策していると「十字路」という居酒屋を見つけた。
こじんまりとした小さな店で中をのぞくと、中は客がおらず、ゆっくりできそうなので入ってみることにした。
折り畳みができる小さな椅子が置いてある。この椅子は転び立ち飲みでよく見かけるのだが、この店も果たして転向した居酒屋なのだろうか。
店のマスターと思しき男性に「生ビール」を頼んだ。
一緒に肴を頼もうと思ったが、マスターがそそくさと踵を返して厨房に行こうとしたのを見て、わたしは一瞬躊躇してしまった。
マスターが生ビールを持ってくると、彼は「代金と引き換えです」と小さな声で言った。
ははぁ、キャッシュオンデリということを聞いてこの店が以前立ち飲み屋であったことを確信した。
やっぱり転び立ち飲みだったか!
さて、マスターがビールを持ってくると同時に、わたしは酒肴のオーダーを行った。
「煮込みをください」。
わたしがそう言うと、とても信じがたい返事が返ってきた。
「まだ作ってる途中なんです」。
え?
だってあと10分で18時じゃない!
この時間に「煮込み」を調理中というのは怠慢じゃないの?
しかも、その後店のマスターは悪びれる様子もなく、厨房に去っていってしまった。
ちょっと待てよ!
「煮込みはあと○分で出来ますが、お待ちいただけますか」とか「煮込みはもうしばらくかかります。ポテトサラダならすぐにお出しできます」とか「今日は刺身のいいのが入ってます。いかがですかね」とかいう提案はないんかい!
わたしは、その後しばし放置プレイ。
大音量のテレビとJポップが騒音のようにけたたましくなる店内で、わたしは悲しい気持ちになり、つまみのないままスーパードライを飲んだ。そして、その1杯を飲み干し、店を後にした。
一応、マスターは「ありがとうございました」とお礼は忘れなかったが、気分よく飲めたとはいえない。むしろ1杯500円のビールが高く感じたほどだ。
気持ちよく、お客に飲んでもらおうという気概が感じられないお店だった。
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