小平グラウンドに行った。
退任する原博美監督に別れを告げに(写真)。
原監督は日焼けしたその顔で満面の笑みを浮かべた。
監督として、小平に戻ってくることはもうないかもしれない。
小平グラウンドまではいつも小平駅から徒歩で行く。片道20分、いつもせっせと歩いた。この日ももちろん徒歩で。もう9年も前の話しになるが、わたしは花小金井に住んでいた。ある日、散歩をしていたとき、一度だけ錦城高校の前を通りかかったことがある。まさか、その目の前に、FC東京の練習場が出来て、わたしが年に2回ほど通うことになるとは、ゆめゆめ思ってもみなかったことである。
さて、原監督にお別れをしたわたしは、13時頃グラウンドを後にした。
お腹はぺこぺこだ。
小平駅前の中華料理店「太平楽」で炒飯とビールもいいが、どっかで本格的に飲みたい気分だった。新宿に行けば、どこか開いている店もあるだろう、と考えたときにハッと思い出した。
あの店なら3時に開店だ、と。
その店とは、居酒屋放浪記NO.0149でお邪魔した「呑2」。雰囲気も悪くはないし、「牛すじ煮込み」(350円)はまさに絶品だった。よし!行こう!と心に決め、西武新宿線の準急にわたしは乗り込んだのである。
高田馬場駅に着くと、時刻はまだ14時を少し回ったところだった。
腹の虫はグーっグーっと鳴いていたが、仕方がない。わたしは、しばらく高田馬場周辺を歩くことにした。ブックオフに立ち寄り、神田川沿いに。途中、立ち飲み屋を発見した。開店は16時らしい。中ではせっせと仕込みをしている様子が分かる。少し行くと、ラーメン屋の「べんてん」に出た。相変わらず今日も行列している。早稲田を目指し、途中で早稲田通りを折り返した。昔、よく食べた地下の安飯街はまだあるのかなと、地下鉄東西線の出口をつたって、行ってみると、すっかりそのスペースはこざっぱりとした空間になっていた。
そうしているうちに、時間は瞬く間に過ぎ去り、時計は15時を回った。わたしは、喉をゴロゴロ鳴らしながら、「呑2」に向かったのであった。
お店はまだ開いたばかりであった。
ホッピーの幟がまだ店内に横たわっており、おばちゃんがそれをちょうど出すところだった。
「こんにちは」
とおばちゃんに声を掛けると、ややしわがれた声でおばちゃんは挨拶を返してきた。
「覚えていますか」
と言うと、少し間を置いて、「覚えていますよ」とおばちゃんは答えた。
どうやら、あんまり記憶にないような、返答だった。
生ビール(400円)を頼んだ。
おばちゃん、「ちょっと待ってよ」と言いながら、準備に取り掛かり、わたしをやきもきさせた。
しばらくして、ビールが運ばれ、ようやく待望のビールを口に運ぶことができた。
「おや?」
はて?ビールの銘柄が変わったか。
2ヶ月前と比べ、味が淡白になっているような気がした。確信は持てないが、今ビールとして運ばれてきたものが、ビールではないように思えた。
断言はできない。これは、あくまでもわたしの感想である。
さて、つまみは、迷わず「牛すじ煮込み」を頼んだ。
前回食べた際、これは目から鱗のまさに絶品モノだった。
醤油ベースの透明なスープに柔らかい牛の筋がたくさん。これは07年に食べた居酒屋の煮込みの中でも五指に入るだろう。
実は、07年の「居酒屋アワード」から、煮込みに関する賞を設けようと考えている。題して「煮込み・オブ・ザ・イヤー」。その栄えある第一回目に、この店の「牛すじ煮込み」を強く推挙したいと思っているほどだ。
果たして、運ばれてきた小鉢からは、かぐわしい芳香が漂ってくる。早速かぶりついた。空腹の胃にじわじわと優しいスープが満たされていく。やはり、うまい!辛くもなく、物足りなさもない、この微妙な均衡のもとに作られたスープはケチのつけようがない。ただひとつ苦言を言うのなら、今回のスープはやや生姜がききすぎていた。そのスープを飲み干すと、最後に生姜の塊がゴロっと出てきた。ちょうど、その部分をすくってしまったようだった。
ビールを飲み干して、次にわたしはホッピー(白)を頼んだ。
この店、焼酎もいくらか置いてあるが、この煮込みには是非、ホッピーを注文したい。
おばちゃんに「ナオキさん」のことを尋ねてみた。
暴れん坊のナオキさんはその後も度々同店を訪れるのか、知りたかったからだ。
「あの人ね。何度か見えたわよ。でも最近さっぱりね」。
どうやら、あれ以来、ナオキさんはこの店で暴れていないようだった。
天井から吊り下げられた薄型テレビからは、ワイドショーが流れている。
画面は豪壮な釜本邦茂家の様子だった。
「スゴイわね~」
おばちゃんは、思わず溜息をつく。
「スゴイですね~」。
わたしも相槌をうつ。
気兼ねなど必要なく、窮屈でもない、一見のお客でもすぐに溶け込める雰囲気の店である。
秀逸なのは、「牛すじ煮込み」だけではない。「ポテトサラダ」もまた格別だ。早速、頼んでみると「今日はマカロニサラダなの」などと言う。どうやら、隔日でポテトサラダとマカロニサラダを供するらしい。しかし、そのマカロニサラダもまた素晴らしかった。両方食べてみる価値は絶対にある!
最後に「ちょっとしたつまみを」とおばちゃんに頼んだ。この一品もまた極上だった。それは「うずらにんにく」。うずらの卵をにんにくのタレにつけておいたものなのだが、これがまたおいしかった。
結局、ホッピーはその後中味を2杯お代わり。これだけ、飲んで食べて会計は僅か2,000円ちょっとにしかすぎない。しかも、どの肴も丁寧に作られたおばちゃんの手作りときたら、もはや何も言うことはない。
現在のところ、07年の立ち飲み屋部門、居酒屋アワードの最右翼といったところか。不安なのは、生ビールがビールらしくない点だけ。
土曜、日曜、祝日も15時から営業。働き者のおばちゃんもざっくばらんで実に感じがいい。まさに非の打ち所がない、素晴らしい立ち飲み屋さんだ。
退任する原博美監督に別れを告げに(写真)。
原監督は日焼けしたその顔で満面の笑みを浮かべた。
監督として、小平に戻ってくることはもうないかもしれない。
小平グラウンドまではいつも小平駅から徒歩で行く。片道20分、いつもせっせと歩いた。この日ももちろん徒歩で。もう9年も前の話しになるが、わたしは花小金井に住んでいた。ある日、散歩をしていたとき、一度だけ錦城高校の前を通りかかったことがある。まさか、その目の前に、FC東京の練習場が出来て、わたしが年に2回ほど通うことになるとは、ゆめゆめ思ってもみなかったことである。
さて、原監督にお別れをしたわたしは、13時頃グラウンドを後にした。
お腹はぺこぺこだ。
小平駅前の中華料理店「太平楽」で炒飯とビールもいいが、どっかで本格的に飲みたい気分だった。新宿に行けば、どこか開いている店もあるだろう、と考えたときにハッと思い出した。
あの店なら3時に開店だ、と。
その店とは、居酒屋放浪記NO.0149でお邪魔した「呑2」。雰囲気も悪くはないし、「牛すじ煮込み」(350円)はまさに絶品だった。よし!行こう!と心に決め、西武新宿線の準急にわたしは乗り込んだのである。
高田馬場駅に着くと、時刻はまだ14時を少し回ったところだった。
腹の虫はグーっグーっと鳴いていたが、仕方がない。わたしは、しばらく高田馬場周辺を歩くことにした。ブックオフに立ち寄り、神田川沿いに。途中、立ち飲み屋を発見した。開店は16時らしい。中ではせっせと仕込みをしている様子が分かる。少し行くと、ラーメン屋の「べんてん」に出た。相変わらず今日も行列している。早稲田を目指し、途中で早稲田通りを折り返した。昔、よく食べた地下の安飯街はまだあるのかなと、地下鉄東西線の出口をつたって、行ってみると、すっかりそのスペースはこざっぱりとした空間になっていた。
そうしているうちに、時間は瞬く間に過ぎ去り、時計は15時を回った。わたしは、喉をゴロゴロ鳴らしながら、「呑2」に向かったのであった。
お店はまだ開いたばかりであった。
ホッピーの幟がまだ店内に横たわっており、おばちゃんがそれをちょうど出すところだった。
「こんにちは」
とおばちゃんに声を掛けると、ややしわがれた声でおばちゃんは挨拶を返してきた。
「覚えていますか」
と言うと、少し間を置いて、「覚えていますよ」とおばちゃんは答えた。
どうやら、あんまり記憶にないような、返答だった。
生ビール(400円)を頼んだ。
おばちゃん、「ちょっと待ってよ」と言いながら、準備に取り掛かり、わたしをやきもきさせた。
しばらくして、ビールが運ばれ、ようやく待望のビールを口に運ぶことができた。
「おや?」
はて?ビールの銘柄が変わったか。
2ヶ月前と比べ、味が淡白になっているような気がした。確信は持てないが、今ビールとして運ばれてきたものが、ビールではないように思えた。
断言はできない。これは、あくまでもわたしの感想である。
さて、つまみは、迷わず「牛すじ煮込み」を頼んだ。
前回食べた際、これは目から鱗のまさに絶品モノだった。
醤油ベースの透明なスープに柔らかい牛の筋がたくさん。これは07年に食べた居酒屋の煮込みの中でも五指に入るだろう。
実は、07年の「居酒屋アワード」から、煮込みに関する賞を設けようと考えている。題して「煮込み・オブ・ザ・イヤー」。その栄えある第一回目に、この店の「牛すじ煮込み」を強く推挙したいと思っているほどだ。
果たして、運ばれてきた小鉢からは、かぐわしい芳香が漂ってくる。早速かぶりついた。空腹の胃にじわじわと優しいスープが満たされていく。やはり、うまい!辛くもなく、物足りなさもない、この微妙な均衡のもとに作られたスープはケチのつけようがない。ただひとつ苦言を言うのなら、今回のスープはやや生姜がききすぎていた。そのスープを飲み干すと、最後に生姜の塊がゴロっと出てきた。ちょうど、その部分をすくってしまったようだった。
ビールを飲み干して、次にわたしはホッピー(白)を頼んだ。
この店、焼酎もいくらか置いてあるが、この煮込みには是非、ホッピーを注文したい。
おばちゃんに「ナオキさん」のことを尋ねてみた。
暴れん坊のナオキさんはその後も度々同店を訪れるのか、知りたかったからだ。
「あの人ね。何度か見えたわよ。でも最近さっぱりね」。
どうやら、あれ以来、ナオキさんはこの店で暴れていないようだった。
天井から吊り下げられた薄型テレビからは、ワイドショーが流れている。
画面は豪壮な釜本邦茂家の様子だった。
「スゴイわね~」
おばちゃんは、思わず溜息をつく。
「スゴイですね~」。
わたしも相槌をうつ。
気兼ねなど必要なく、窮屈でもない、一見のお客でもすぐに溶け込める雰囲気の店である。
秀逸なのは、「牛すじ煮込み」だけではない。「ポテトサラダ」もまた格別だ。早速、頼んでみると「今日はマカロニサラダなの」などと言う。どうやら、隔日でポテトサラダとマカロニサラダを供するらしい。しかし、そのマカロニサラダもまた素晴らしかった。両方食べてみる価値は絶対にある!
最後に「ちょっとしたつまみを」とおばちゃんに頼んだ。この一品もまた極上だった。それは「うずらにんにく」。うずらの卵をにんにくのタレにつけておいたものなのだが、これがまたおいしかった。
結局、ホッピーはその後中味を2杯お代わり。これだけ、飲んで食べて会計は僅か2,000円ちょっとにしかすぎない。しかも、どの肴も丁寧に作られたおばちゃんの手作りときたら、もはや何も言うことはない。
現在のところ、07年の立ち飲み屋部門、居酒屋アワードの最右翼といったところか。不安なのは、生ビールがビールらしくない点だけ。
土曜、日曜、祝日も15時から営業。働き者のおばちゃんもざっくばらんで実に感じがいい。まさに非の打ち所がない、素晴らしい立ち飲み屋さんだ。
飲みに行きそこねた。
あ、センセイ、誕生日おめでとうございましたー(1日おくれ)
とりあえず、今Pんチ近くの焼き鳥屋かな?
誕生日?あっ!そうだった!今Pも18日だったね。おめでとさん!お互いだんだんオッサンになるね~。