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六郷土手から、京急に乗らず、歩いてみようと思った。
京急も京成線に負けず劣らず、その沿線は庶民らが暮らす混沌の町である。
ある部分では、京成沿線よりも強烈な個性を持っているともいえた。たとえば、東京都区内最南端の六郷土手は、多摩川を境にする宿場町である。旅館は未だに多く、往時の雰囲気を感じさせてくれる。
その旅館街を超えると、決して整然としてはいない秩序があるとはいえない町が現れる。そうして、京急の駅にたどり着く。
「雑色」。
まるで、混沌とする街並みを物語っているような駅名。
「雑色」と書いて、ぞうしきと読む。
ここは、本当に東京のしかも23区内なのか。そんな街並みである。
やはり、と言うか、おや?と言うべきか、立ち飲み屋を見つけた。六郷土手には立ち飲みはおろか、居酒屋すら少ない。だが雑色には店が多く立ち並んでいた。
「まんねん」という串揚げ屋さん。猫の絵が特徴的である。
時刻はまだ16時過ぎだが、店は開いていた。
店構えはパッとしていなかったが、店内はしゃれていた。
古民家風なのである。いや、もともとの民家を改築したのか、それとも民家の建家を移築させたのか、分からないほどに、この店は一軒家そのものだった。
何十年もの月日を過ごした柱が不自然に突き出ていたりした。はっきりしたことはいえないが、恐らく店は、ここに存在した民家を改良したものではないかと思った。わざわざ移築は、立ち飲み屋として、あまりにもコストをかけすぎている。
店内は、座りと立ち飲みが、混在する店だった。
近年の立ち飲みのトレンド。どちらのニーズも満たす店。
ボクは、当然ながら立ち飲みスペースに陣取った。
1000円で、飲み物とどて焼き、そして串揚げが3本つく「まんねんセット」なるものがあった。これがお得かは分からない。
というのも生ビールは420円、串揚げは一本が120円ということを考慮すれば、金額的なアドバンテージはあまりなかろうとボクは直感的に思った。
まさか、どて焼きが300円以上ということもあるまい。
だが、セットの利点は、この店の代表料理を一括してオーダーできる点にあるだろう。ボクは、そう思ってセットを頼んだ。
串揚げは、豚バラとキス。あとは失念。キスは大田区の特産。はずせない一品である。
串揚げは、いずれもサクサクだった。ビールもいい具合に冷えており、いうことなし。串揚げは、このあと、紅しょうがと豚バラを追加した。
サクサクの串揚げは「ウォーターフライヤー」と呼ばれる調理器具で、作られているとのこと。よくは分からなかったが、とにかく、珍しいものらしい。
店は良心的だった。値づけも店員さんも。壁のあちこちには、手作りのチラシが貼られて、店の特徴を分かりやすく伝えている。
「ウォーターフライヤー」もそうした告知のなかに掲げられたものだった。
生ビールを飲み終えて、ボクは「バスペールエール」をオーダーした。樽詰てはなかったが、立ち飲みとしては、珍しいラインアップだと思った。
上面発酵の薄いビールが、串揚げに合うとは思わなかった。とにかく、やってみなきゃ分からない。国産ビールにはないエールの甘味が、串揚げの塩気に合うのである。
派手さはなく、地道に堅実な印象の立ち飲みである。
その堅実さが、謙虚な感じを醸し、好感が持てる。
また、再訪をいつか果たしたい。
さすがはコンプリート野郎の師だけのことはある。
これからも、飲み過ぎには気をつけながら、さらなるディープな居酒屋を、さすらい続けてくれ、師よ。
24連続勤務とは、すげぇよ。
知らない人が見たら、どんだけブラックなんだと思うだろうな。
飲み過ぎには気をつけるよ。週4回は休肝日だ。
ありがとう師よ。