「横浜中華街にある温泉」という枕詞がつく「恵びす温泉」。
だが、温泉施設のあるビルの周囲には、中華料理店はもう見当たらない。でも、中華街特有の斜めの街。その西南の角。
ぎりぎり、本当にオン・ザ・ライン。確かに中華街の一角。
ビルの2階、独特のタイルの壁に囲まれながら、階段を上がる。
新しいのか古いのか分からない。そのビルにある風呂は温泉というより、銭湯である。
実際、入湯料は450円である。
セントラル方式の番台でお金を払い、いざ男湯に。
脱衣所、広い!思っていたよりも断然広く、そして清潔だ。
更に浴場に入ると、その際立った広さにまた驚いた。
その風情は東京やましてや千葉の風呂とは違う。これが横浜式なのか。それともここだけが特別なのか。
メインの浴槽、ジャグジー風、競走馬のトレセンにある歩行する目的の細い風呂など5つの浴槽がある。
そのレイアウトも規則性があるわけではなく、幾何学的な並びで設けられている。
不可思議だ。
人間工学的にも合理性があるとも思えない風呂の導線。
ボクは少し混乱した。
おっと、混乱してしまい、つい躰を洗わずに浴槽に入りそうになってしまった。
しかし、気になるのは先述した競走馬のトレセンのような風呂。石川町の隣町、山手にはかつて日本で最初の競馬場があったという。まさかそれにちなんでできたわけでもないのだろうが、それにしてもこういう風呂をボクはかつて銭湯で見たことがない。
その細長い風呂を老人がまるで徘徊するように歩いている。
だが、この浴場にいる老人は、彼一人だった。
20人はいる浴場の中で。
さすが横浜。高齢化率は低い。
僅か5%とは。
温泉と称する「恵びす温泉」だが、天然温泉かどうかは分からない。
無色透明の水。湯温は東京に比べれば、やや低めで42℃くらいか。
長い時間入っていてもふらふらにならない。
結局、小一時間ほど、長風呂してしまった。
浴室を出ると、少年野球の子どもらが大勢入ってきた。
みんな元気である。
さて、適度に腹も空いてきたことだし、中華街で腹ごしらえでもしようか。
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