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昭和一けた生まれの両親に育てられたボクは、子どもの頃から小原庄助さんの話しをよく聞かされた。
どういう意図で希代の道楽家の話しを子どもに聞かせたのか、今では知る由もないが、とにかくボクの心に今も残る。
「朝寝、朝風呂、朝酒」。
その結果、遺産を全て食いつぶした。
両親が語るその文脈には、「そんな大人になるな」というメッセージがあったように思う。
大人になって、朝酒こそしないものの、昼飲みと称してあちこち飲んで歩いている姿を見て、天国にいる両親はさぞかし苦々しく思っているだろう。
だが、なんと甘美なのだろう。
「朝寝、朝酒、朝風呂」。
アダムは何故リンゴを食べたか。
それは禁止されていたからに他ならない。
お金を持っているのに万引きする人、裸を撮るわけでもなく、スカートの中を盗撮する人。
何故、そんなことをするのか。それは禁じられているからである。
朝寝はともかく、朝酒に朝風呂。そんな放蕩な暮らしにちょっとした夢をみてしまう。
そこに甘い誘惑があるのは、世間一般的にそこは足を踏み入れてはいけない領域である。
そんな夢を叶えてくれる銭湯がある。
東京都北区王子。かつて王子北駅があったすぐ近く。廃線の線路が今も残るその線路沿い。大きな大漁旗を思い起こさせる暖簾は日曜日の朝8時から飾られている。
日曜日の早朝、ボクはその暖簾をくぐった。
靴はどこで脱ぐのか。一瞬まごついた。
どうやら、靴を脱がずにそのまま進んでいいようだ。それにつけても風呂屋らしからぬレイアウト。公共空間ともいえる喫茶スペースが大きな特徴だ。
何人かの人が椅子に座ってトーストを食べている。異様だ。極めて異様だ。
まるで喫茶店のモーニング。
そんな人を横目で見ながら、フロントを目指す。店番のおじいさんに450円を支払い、男湯へ。
風呂は極めてオーソドックスな関東湯であった。
浴槽は大きなものがひとつ。そしてサウナの水風呂である。(サウナは別途料金)。
そのレイアウトも特筆するものではないが、朝風呂は全てをバラ色にしてくれる。優しい陽ざしが降り注ぐわけでもないが、ちょっとした罪悪感とともにボクはちょっぴり幸せな気持ちになった。
悦楽は禁断と裏腹にある。やってはいけない。そのぎりぎりの悦楽。
日曜日の朝、広々とした風呂で朝を迎える。この至福の時間。
これは入浴した人でなければ分かるまい。
禁断の朝風呂。
その風呂上りにはモーニングセットが用意される。ボクは少しホッとした。
もしこれがビールとおつまみセットだったならば。そして、仮眠室も完備されているとしたら。
ここはもう完全に小原スタイルとなってしまう。
だが、待てよ。このまま風呂あがりに自転車に乗って、赤羽を目指したら。
「まるます家」、「いこい」、「喜多屋」。いやいや、それはもう考えるのをやめよう。
師がそういうなら、今朝は飲んじゃうぞ。
心おきなく。
休みの日に適量であれば、朝酒・朝風呂・朝寝、全て社会性を逸脱はしないと俺は思うけどねえ・・・。
ストレスたまり過ぎなんじゃないか、師よ。無理すんなよ。(笑)
でも、朝酒は大問題だよ。たとえ働いていたとしても。
社会的な役割や家族の役割を放棄するから。
朝酒したら、たぶんその日一日は使い物にならないだろうね。
場合によっては、人に迷惑をかけるよ。
朝酒、朝風呂、朝寝は、社会性を逸脱してるんじゃないか。
まあけど、どっちにしても飲み過ぎんなよ。(笑)
しかし、朝風呂はいいねえ。朝の明るい日差しを浴びながらの入浴は、ホント気持ち良いからねえ。