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新橋烏森の飲み屋街に飲兵衛にとってお得な赤い腕輪バンドが販売されているらしい。
それがあれば企画に賛同する店舗で割引サービスを受けられたり、1杯目の飲み物が無料になるなど、特典があるという。
赤い腕輪バンドとは、世界の貧困層撲滅のためのホワイトバンドプロジェクトや癌を克服したツールドフランスチャンピオンのアームストロング氏が自身の癌を世界から撲滅するために企画した黄色いバンドと同じように、ラバータイプのバンドで居酒屋の赤提灯を想起できるようにと赤くデザインされている腕輪だ。
1つ500円で売っているらしい。
そんな情報を佐渡島が生んだメタボリック記者松吉から聞いたもんだから、新橋に行きたいとうずうずしていたら、友人のMJから連絡が来た。
「今週飲もうよ」。
それは、ナイスタイミング。
6月6日、新橋へと赴いたのである。
新橋に着き、SL広場にてMJと合流してから、烏森飲み屋群をぶらぶら物色。40数店舗が、その赤バンド企画に賛同しているらしいので、すんなり赤バンドを売る店が見つかるかと思ったのだが…。
歩くこと15分。居酒屋群の端から端まで2往復したが、いっこうに見つからず。
しかも、赤バンド参加店といった看板も見かけないし、赤バンドをしているサラリーマンも人っ子ひとりいやしない。
入梅の東京は蒸しており、界隈を歩き回る中、オレのスーツ、ズボンは汗でベトベトだ。
歳を経る度にオレの汗はべたついてくる。酒の飲み過ぎで糖分が出ているのだろうか。
とにかく、ベタベタとズボンに張り付いて気持ちが悪い。2往復目の復路を戻ってきたところで、赤バンドの店を探すことはやめにした。
「 オレの知っている店に行こう」と切り出すMJの後に続き、新橋駅を背にして再び歩き出し、烏森神社の手前、ニュー新橋ビル南西側角の対面にある焼き鳥「つるや」へ来たのである。
灰色の建物はもう随分長いことこの地で店を構えているようにみえる。
その佇まいは一見してこの店が只者ではないことを表す。
店の目の前まで来ると「満席」の立て看板。
引き戸からは微かに店の中が窺いしれる。
試しに覗いてみると、成程、店は全て満席だ。
オレたちは、店の外で待つことにした。
10分ほど経つと、中から我々を呼ぶ声がした。
どうやらオレたちの順番だ。
一番手前のテーブル席に腰掛けた。
店の中は向かって左手が厨房。その周囲をカウンターが囲む。通路を挟んでテーブル席が3卓だ。
更にその奥は座敷になっている模様。
酔客の笑い声がよく聞こえる。
テーブルに座ると、お絞りとお通しが出てきた。
お通しはキャベツの浅漬けに蒲鉾。
練り物が出てくる理由はよく分からないが、どうやらここではこれが定番のようだ。
まず我々は瓶ビールを頼んだ。
ビールは瓶しかないのだ。
ほら、ここもサッポロ黒ラベル。
アサヒがビールのシェアナンバーワンていうのは虚言じゃないのか?
コップは安酒場で出てくる小さなビール会社支給のもの。
早速、ビールを注いで乾杯。
小さなコップがカチリと鳴った。
店の雰囲気は悪くない。
3人の焼き手に3人の仲居さんが控える。
店の中はうるさすぎず、静か過ぎず。
さて、何を頼もうか。
勝手がよく分からなかったので基本セットのようなものを頼むことに。
「基本セットのようなもの」と書いたのは、そういうセットが店の壁に貼られているメニューに書いていなかったためである。
MJが確か、「セットメニューがある」と言って、お店の女の子に注文したのだ。
待つこと十数分。
やがて、運ばれてきた皿にはあまりお目にかかったことのない焼き鳥が3本、鎮座している。
その中で最も印象に残ったのが合鴨の焼き鳥だった。
備長炭で焼かれた肉はまさにジューシィ。
肉の中はややレア気味だが、肉汁が口の中で溢れてくる。
これはうまい!
ちなみに江戸時代の焼き鳥は合鴨の肉などを扱う高級料理だったとものの本に記されている。
もしかするとこの店、江戸時代からの焼き鳥の系譜を持っていたりして。
このほか鳥、皮なども注文して食べてはみたが、味は断然合鴨だった。
だが、決して普通の焼き鳥が劣るというわけではない。鳥の素性は明らかにしていないが、その実は締まってとても弾力がある。しかし、実の大きさはやや小ぶりで上品すぎるかな、とも思える。
だが、味に優るものはなし。とにかく、塩加減と風味が一番だ。
ビールを2本飲んだ後、MJは冷酒に、そしてオレは麦焼酎水割りに切り替えた。
焼き鳥に合う飲み物は各人の好み。
いや、焼き鳥は何にでも合うので、万人に愛されるのだろう。
ちなみに、この麦焼酎、銘柄は書かれていなかったのだが、久々に飲んだ麦にオレ、少し勘違い。
飲めば飲むほど、ウイスキーのような味わいに、思わず、「これ、ウイスキーじゃない?」と。
すると、店員さん、「いいえ。麦焼酎です。」
焼酎もウイスキーの同じ麦の蒸留酒だもんね。しばらく、麦焼酎を飲んでなかったからすっかり鈍ってるなぁ。
あぁ、恥ずかしい。
でも、焼き鳥はウイスキーにもよく合うんだろうね。
さて、ホッピーでも飲みたくなってきた。
「ようし!赤バンドを求めてもう一度!」
オレとMJは烏森の居酒屋群に消えて行った。
《次回に続く》
それがあれば企画に賛同する店舗で割引サービスを受けられたり、1杯目の飲み物が無料になるなど、特典があるという。
赤い腕輪バンドとは、世界の貧困層撲滅のためのホワイトバンドプロジェクトや癌を克服したツールドフランスチャンピオンのアームストロング氏が自身の癌を世界から撲滅するために企画した黄色いバンドと同じように、ラバータイプのバンドで居酒屋の赤提灯を想起できるようにと赤くデザインされている腕輪だ。
1つ500円で売っているらしい。
そんな情報を佐渡島が生んだメタボリック記者松吉から聞いたもんだから、新橋に行きたいとうずうずしていたら、友人のMJから連絡が来た。
「今週飲もうよ」。
それは、ナイスタイミング。
6月6日、新橋へと赴いたのである。
新橋に着き、SL広場にてMJと合流してから、烏森飲み屋群をぶらぶら物色。40数店舗が、その赤バンド企画に賛同しているらしいので、すんなり赤バンドを売る店が見つかるかと思ったのだが…。
歩くこと15分。居酒屋群の端から端まで2往復したが、いっこうに見つからず。
しかも、赤バンド参加店といった看板も見かけないし、赤バンドをしているサラリーマンも人っ子ひとりいやしない。
入梅の東京は蒸しており、界隈を歩き回る中、オレのスーツ、ズボンは汗でベトベトだ。
歳を経る度にオレの汗はべたついてくる。酒の飲み過ぎで糖分が出ているのだろうか。
とにかく、ベタベタとズボンに張り付いて気持ちが悪い。2往復目の復路を戻ってきたところで、赤バンドの店を探すことはやめにした。
「 オレの知っている店に行こう」と切り出すMJの後に続き、新橋駅を背にして再び歩き出し、烏森神社の手前、ニュー新橋ビル南西側角の対面にある焼き鳥「つるや」へ来たのである。
灰色の建物はもう随分長いことこの地で店を構えているようにみえる。
その佇まいは一見してこの店が只者ではないことを表す。
店の目の前まで来ると「満席」の立て看板。
引き戸からは微かに店の中が窺いしれる。
試しに覗いてみると、成程、店は全て満席だ。
オレたちは、店の外で待つことにした。
10分ほど経つと、中から我々を呼ぶ声がした。
どうやらオレたちの順番だ。
一番手前のテーブル席に腰掛けた。
店の中は向かって左手が厨房。その周囲をカウンターが囲む。通路を挟んでテーブル席が3卓だ。
更にその奥は座敷になっている模様。
酔客の笑い声がよく聞こえる。
テーブルに座ると、お絞りとお通しが出てきた。
お通しはキャベツの浅漬けに蒲鉾。
練り物が出てくる理由はよく分からないが、どうやらここではこれが定番のようだ。
まず我々は瓶ビールを頼んだ。
ビールは瓶しかないのだ。
ほら、ここもサッポロ黒ラベル。
アサヒがビールのシェアナンバーワンていうのは虚言じゃないのか?
コップは安酒場で出てくる小さなビール会社支給のもの。
早速、ビールを注いで乾杯。
小さなコップがカチリと鳴った。
店の雰囲気は悪くない。
3人の焼き手に3人の仲居さんが控える。
店の中はうるさすぎず、静か過ぎず。
さて、何を頼もうか。
勝手がよく分からなかったので基本セットのようなものを頼むことに。
「基本セットのようなもの」と書いたのは、そういうセットが店の壁に貼られているメニューに書いていなかったためである。
MJが確か、「セットメニューがある」と言って、お店の女の子に注文したのだ。
待つこと十数分。
やがて、運ばれてきた皿にはあまりお目にかかったことのない焼き鳥が3本、鎮座している。
その中で最も印象に残ったのが合鴨の焼き鳥だった。
備長炭で焼かれた肉はまさにジューシィ。
肉の中はややレア気味だが、肉汁が口の中で溢れてくる。
これはうまい!
ちなみに江戸時代の焼き鳥は合鴨の肉などを扱う高級料理だったとものの本に記されている。
もしかするとこの店、江戸時代からの焼き鳥の系譜を持っていたりして。
このほか鳥、皮なども注文して食べてはみたが、味は断然合鴨だった。
だが、決して普通の焼き鳥が劣るというわけではない。鳥の素性は明らかにしていないが、その実は締まってとても弾力がある。しかし、実の大きさはやや小ぶりで上品すぎるかな、とも思える。
だが、味に優るものはなし。とにかく、塩加減と風味が一番だ。
ビールを2本飲んだ後、MJは冷酒に、そしてオレは麦焼酎水割りに切り替えた。
焼き鳥に合う飲み物は各人の好み。
いや、焼き鳥は何にでも合うので、万人に愛されるのだろう。
ちなみに、この麦焼酎、銘柄は書かれていなかったのだが、久々に飲んだ麦にオレ、少し勘違い。
飲めば飲むほど、ウイスキーのような味わいに、思わず、「これ、ウイスキーじゃない?」と。
すると、店員さん、「いいえ。麦焼酎です。」
焼酎もウイスキーの同じ麦の蒸留酒だもんね。しばらく、麦焼酎を飲んでなかったからすっかり鈍ってるなぁ。
あぁ、恥ずかしい。
でも、焼き鳥はウイスキーにもよく合うんだろうね。
さて、ホッピーでも飲みたくなってきた。
「ようし!赤バンドを求めてもう一度!」
オレとMJは烏森の居酒屋群に消えて行った。
《次回に続く》
この「満員です」の看板が気になるのですよね~。
ホントに満員なのかな、って思ってたんですが、
やっぱり待たないと入れないのかぁ…(涙)。
でも串は本当においしそうですね。
今回も、並んでいる人を差し置いて入っていった人がおり、並んでいた人が店内で文句を言っていました。
個人的には、常連も一見も贔屓があってはいけないと思います。
まぁ、難しいところですね。
文中にも書きましたが、焼き鳥は全てのお酒で飲んでも合うと思います。
まき子さんの焼き鳥に合う極上のお酒を教えてください。
さて、松吉さん。
変な印象を与えちゃって、というのはおかしな表現ですね。ジャーナリストはジャーナリストらしく、事実は事実に基づいて記事を書くことを信条としなければいけません。
中野新橋はまたいいところですね。
しかし、中野は総じていいところだよ。
ちなみに、松吉さんの焼き鳥に合う、お酒は何?
先日温泉街のさびれた焼き鳥屋さんにいったのです。おばあちゃんが一人でやってはる。時間がおそくて他に行くとこなかったの。
そこの生ビールが不味いこと! 生ゴミかと思いました。
ああゆう店は瓶じゃないとダメね。
焼き鳥に合うお酒ですが、自分は生粋のタレ星人なので、タレの旨みを十分に引き立ててくれる日本酒、それも「吾妻嶺」「飛露喜」「金鶴」がお勧めです。
いずれも若干辛口?(飛露喜は人によって甘口と言われる場合有)ですっきりとした口当たりのものがタレに合うと確信しておりやす。こんなことをダラダラ書くと、また兄さんから「数年前まで日本酒なんて…」と辛口のコメントがありそう…
そのビールは腐っていたんでしょうか。
きっと、ビアサーバーは頻繁に使われていなかったんでしょう。
お腹の調子は大丈夫だった?
昔、京成実籾駅北口より徒歩5分の某店の自販機でビールを買って、友人の家で飲んでみたら見事に腐っていました。
製造年月日は2年前でした。
お互い気をつけましょう。
さて、松吉さん。
焼き鳥には日本酒ですか?
それは意外だ。
しかも、知らない銘柄をすらすらと。
金鶴は確か、地元佐渡島の蔵でしたね。
しかし、松吉さんがタレ星人だったとは。
今度、焼き鳥食べに行きましょう。
しかし、昨夜市谷をぶらついたけれど、何もないねぇ。
タイ料理「ティーヌン」くらいだったなぁ。
入りたいと思ったのは。