T根が、まだアキバの「晩杯屋」に行ったことがないという。二人で行くことにした。
しかし、この物件が「晩杯屋」にとって、最善の道だったのか。昭和通り沿いの雑居ビルの4F。「晩杯屋」史上、最も目立たない店舗といえる。この雑居ビルには複数の飲食店がテナントする。だから、一つしかないエレベーターを利用するのにけっこう時間がかかる。ともあれ、ボクとT根はアキバの「晩杯屋」に滑り込んだ。
いつも通される一人客用のカウンターの脇に、2人客用のテーブルが数脚ある。ボクらはそこに通された。
まずは「ホッピー セット白」（370円）。
オーダーはもちろん、タブレットで。タブレットでのオーダーは果たしてどちらにメリットを与えるのだろうか。店側か、それとも客側か。
今回、T根とともに、そのへんについて話し合ってみた。
T根の意見はこうだった。
「晩杯屋」の人気メニューのひとつに「アジコロ」（180円）がある。アジフライとコロッケという揚げ物の王道を一気に2つも食べられるという脂ギッシュファンには堪らない一品だが、この組み合わせは変えることができる。アジとアジ、あるいはコロッケとコロッケというような具合に。多くのファンはこれをダブルと呼んでいる。ダブルは口頭で告げなければならない。例えばこんな具合に「アジコロをアジダブルで」。口頭だけで通じたオーダーなのだから、タブレットではできないのだ。これはタブレットの弊害である。
タブレットは恐らく店と客の双方にメリットを与えたはずである。オーダーを取る時間の削減、オーダー漏れの根絶、お客側は「すいませ～ん」といちいち店員さんを呼ばなくてもいい。好きなタイミングでオーダーが可能だ。
また、「晩杯屋」名物の「ロマネコンティ」の姿もない。 あの一品は、事前に予約が必要なため、当然タブレットには記載されないのは分かる。けれど、店のタブレット化によって、サービスが画一化されてしまうのはなんとも味気ない。
T根は「炙りしめさば」（180円）をオーダーした。
いつも、「チーズカリカリ」（150円）や「大盛りレバホルモン」（150円）しか頼まない自分にとって、初めて見るつまみは刺激的だった。「〆鯖」としての食べ方に炙りを加える必然性がよく分からないのだが、味としては面白い。僅か150円。素材のクオリティもまずまずだ。
T根が「晩杯屋」でオーダーするルーティンは、「アジコロ、アジダブル」、「ガツ刺し」である。なかなか興味深い攻め方だ。
T根と飲むのはたいてい、「たきおか 3号店」だった。それが、アキバに「晩杯屋」ができちゃったもんだから。これからボクらが行く道は。明日はどっちだ。
■「 晩杯屋」の過去記事
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