「大穴」を出て向かったのは、中華の「あづま軒」。
海のものとも山のものとも分からない「大穴」の代打として、怪鳥があらかじめ調べていたらしい。
この町中華が大当たりだった。いや、「あづま軒」のおかげで、我々は救われたともいえよう。
店内は10坪くらいの小さなつくり、いかにも町中華といったあんばい。店は新しいのだが、恐らく代替わりとともに建て替えたのでは。壁には、先代の店主らしい人物と旧店舗のイラストが飾られている。
さて、テーブルについた我々は、早速にメニューを見る。何しろ、お腹がペコペコだ。
お、飲み物に、「ホッピー」セット(450円)がある。 「中」は200円。なかなか良心的ではないか。その「ホッピー」セットの白をオーダーし、品書きの「夜メニュー」を眺める。なかなかつまみも充実しているようだ。
その中から、お互いに気になった品を一品ずつ頼んだ。
自分は、「モッツァレラメンマ」(500円)。怪鳥は「ポテトフライ」(400円)。何故に、「ポテトフライ」?
「だって、中華料理屋なのに、『ポテトフライ』だよ」。
「モッツァレラメンマ」は、文字通り、メンマにモッツァレラチーズをあえたもの。これがなかなかにうまい。
一方の「ポテトフライ」は、どこにでもある平凡なそれだった。
しかし、「ホッピー」をぐびぐびて飲り、一通り、つまみをいただいて、ようやく落ち着いた気分になった。店舗は2階もあり、だいぶ騒がしかった。
お店は若旦那と若女将が中心に甲斐甲斐しくも働いている。やはり、代替わりされたのだろう。「モッツァレラメンマ」なんてものは、彼らの感性で作った新しいメニューなのだろう。伝統を守りつつ、しっかり彼らのカラーを打ち出しているところがいじましい。
一通り、腹が落ち着いてきたところで、「ニラレバ」。これがガツンとくる旨さだった。
続いて、「ナン焼きそぱ」。とろりとした餡が絶品だった。インド料理のナンが入っているわけではない。かた焼きそばに対し、軟だと思う。ちなみに、マレーシアでは「ミーヤワ」(軟)と「ミーゴワ」(堅)がある。しかし、この町中華、かなりの当たりだ。会社と自宅の中間にあれば、間違いなく通うのに。
〆は「炒飯」。これも抜群にうまい。怪鳥は、「たまねぎが入った炒飯は珍しい」という。だが、僕にはピンとこなかった。後々、よく考えると、自分が家で作る「炒飯」は、必ずたまねぎだからだ。
結局、ラストの22時半まで滞在した。低調な一軒目を吹き飛ばしすほどの良店だった。
「ここほまた来るな」。
怪鳥がボソッと言った。自分もそう思った。
あぁ、そうだった、「ナン焼きそば」だった。