「カープうどん」で腹ごなしして、ゆっくりスタジアムを一周した。東京ドームも神宮も、そして濱スタもコンコースを一周できないが、ズムスタはそれが可能なのだ。スタジアムグルメを探しながらゆっくりスタジアムをまわってみた。
そろそろビールが飲みたくなってきた。席に戻って、ゆっくりビールでも飲むか。で、なんかビールのお供になるようなものはないかなと物色すると、いいのがあるじゃないか。スタジアムといえばこれ。
ホットドッグ。
お店も空いてるし、ちょうどいい。
「C-DOGs」。
ホットドッグ専門店である。さすがアメリカのスタジアムを意識して作られた野球場。そこに米国ベースボール文化の象徴ともいえるホットドッグ専門店。これは行くしかない。
メニューは基本のホットドッグともいえる、「カープドッグ」に、菊池涼介選手がおどけた顔で紹介する「ふとぅーのホットドッグ」。恐らくこれは菊池選手プロデュースだろう。それから驚いたのが、「シカゴドッグ」。米国の原理主義的ホットドッグだ。そしてもう一品が、クライマックスシリーズ特製ホットドッグ。
悩むな。
特に「シカゴドッグ」は一度食べたかった。ケチャップをつけてはいけないとされる「シカゴドッグ」はベースボールファンなら一度は本場で食べなければならない一品。いつか伝統のリグレー・フィールドで「シカゴドッグ」を食べながら、鈴木誠也選手の活躍を見たい。
結局、敷居の高い、「シカゴドッグ」はやめて、クライマックスシリーズ限定のホットドッグにしてしまった。ケチャップとチーズがかかった、ホットドッグ原理主義者が見たら石でも投げられそうなホットドッグをチョイスしたのだ。
何故、米国のホットドッガーはケチャップを毛嫌いするか。彼らの言い分はこうだ。ケチャップはお子様がつけるもの、らしい。事実、全米ホットドッグ協会は18歳以上のケチャップがけを禁じているともいわれている。
まぁ、自分はアメリカ人ではないし、ましてやケチャップ好きだ。家でソーセージを焼くと大概ケチャップとからしをつけて食べる。神宮球場の大盛りソーセージだって、ドバドバとケチャップとマスタードをつけるくらいだ。
結局、悩んだ末、クライマックスシリーズスペシャルホットドッグを買って席に戻った。
すぐさまビールの売り子さんを呼んでビールを買った。そして試合前のグラウンドを眺めながらホットドッグを頬張る。
うまいなぁ。
やっぱビールのお供はジャンクなものに限る。ジャンクなものであればあるほどビールがうまい。
やがて試合開始が近づいた頃、始球式のアナウンスが流れ始めた。始球式はレジェンド、ミスター赤ヘル。おぉ、浩二さんか。子どもの頃、浩二さんが大好きだったっけ。そしてグラウンドにもう一人誰かが出てきた。スタンドがざわついている。すると彼はおもむろに打席に入った。アナウンスは鈴木誠也さんと伝えた。
え? カープのレジェンドが2人。しかも現役メジャーリーガーが現れるなんて。
その瞬間、自分は後悔した。
鈴木誠也選手が打席に立つと分かっていれば、「シカゴドッグ」を選んでいたのに。名門シカゴカブスのオーラをまとった選手が、たとえここがリグレー・フィールドでなくても、シカゴを受け止めるためには「シカゴドッグ」が必要だった。だって、この夢対決はもう二度と見られないだろう。あの時、自分は「シカゴドッグ」を食べながら、その瞬間の目撃者となったことを末代まで語りたい。そう思った。
「C-DOGs」のCとは間違いなくカープのCだろう。だが、もしかしてシカゴのC? いやカブスのC?
試合前だったが、スタジアムのボルテージは最高潮に達していた。
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