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蕎麦屋さすらい 089 - 4月いっぱいで閉店 - 「六文そば 昌平橋店」(千代田区外神田)の「かきあげそば」

2020-04-21 22:08:31 | 蕎麦屋さすらい

ロケットニュースの「立ち食いそば放浪記」で「六文そば」が閉店するとの報をきいた。会社から徒歩7分。存在は知っていたが、なかなか足が向かなかった、「六文そば」。4月も下旬を迎えたとある日、店に向かった。

建物はボロい。黄色い看板はくすんで年季が入っている。昔はもっと鮮やかな黄色だったはずだ。「そば屋放浪記」によると、「六文そば」は開店から半世紀が経つという。ボロいはずだ。引き戸はたてつけが悪く、選ばれしものしか開かない。 

店を閉店する理由は建物の老朽化によるものらしい。新型コロナウィルスとは無関係のようだ。

食券の販売機など洒落たものはない。口頭で注文する。「かきあげそば」。360円。キャッシュオンデリ。

黒いそばつゆが一際目を引く。岩本町の「スタンドそば」ほど黒くはないが、他他店にはないどす黒さ。このつゆが「六文そば」の「六文そば」たる所以だ。鰹、鯖、鰯で出汁をとり、昔の工法でそばつゆを作っているという。出汁をひいた材料は具体的だが、作り方は非常に曖昧だ。

だが、このつゆが抜群にうまい。やや辛いが、いかにも東京のそばだ。昔は東京のそばといえば、黒いつゆと相場が決まっていた。いわんや、高度経済成長を支えたのは、このつゆだった。 

このつゆにマッチするのが、各種天ぷら。その天ぷらはスタミナの源で、やはり、多くの労働者に支持されてきたはずだ。玉ねぎをメインにするかきあげが抜群にうまい。濃いつゆに浸した天ぷらの衣が、何よりも主役のそばを食ってしまった。

あと数日で閉店となる「六文そば」。東京のそばの由緒正しき系譜が、またひとつ消えていこうとしている。

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2 コメント

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Unknown (モノノフ)
2020-04-22 10:40:50
古き良き店は消え行く運命なんですね、何処も同じで我が県でも後継者がいなくて老舗がどんどん廃業してます。
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Unknown (熊猫)
2020-04-22 15:40:17
モノノフさん。

老舗の閉店は物理的なクローズだけでなく、文化や連綿と続く技術の断絶という点でも、大きな損失だと思います。

よく、ニュースとかで「さみしい」という人がいますが、そんは一言では片付けられないものがあると思います。
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