以前にも書いたが、フリーランスの仕事は勝手気ままな行動は許されない。大概の取材は同行いただき、ルールにのっとって執り行われる。この日はI社さんのご依頼で鴻巣へ。I社さんに余計なコストを負担してはならないので、湯島集合、そして湯島解散ということに。本当は鴻巣で何か飲みたかったというのが本音だったが。
往路で思わぬ渋滞にはまり、相手先との約束の時間にギリギリで到着した。帰りはご同行者が17時までに帰社しなければならず、昼飯はおろか、トイレ休憩すらなかった。だから帰り道はトイレに行きたかったし、お腹は減るしでもうくたくただった。
16:45。湯島で解散。
さて、どこかで何かを飲もうと上野駅の方へ歩く。途中、ショートカットをするべく、不忍付近の盛り場を通った。この一角はギャバクラやスナック、バー、そして居酒屋が乱立する猥雑な町。以前、浅草ホッピー通りの「もつくし」が立ち飲みを出店したが、すぐに撤退した。このエリアは立地的には好条件とはいえないのだろう。
ただただ通り抜けるつもりで入ったが、見慣れないお店に目が留まった。白い暖簾に「シノバズブルワリー」とある。へぇ、クラフトビールの店か。最近またクラフトビールの醸造所が増えているらしい。気にならないこともないが、スルーしようかと思っていたら、今度はラムチョップという単語が目に入った。
へぇ。クラフトビールにラムチョップか、それはなかなかうまそうだ。腹も減っていて、どうにもならなかったから、一旦行きかけた道を元に戻って店に入った。
しかしこぎれいな店で、なんやら落ち着かない。店内手前のカウンターに座った。
メニューを見たが、よく分からないので、シノバズを冠したビールがベーシックなものだと思い、「シノバズエールエール」をいただくことに。これ、実はIPAだったりする。一杯780円。かなりいい値段だ。
何故か、升に入って出てきた。
お店のお兄さんによると、カウンターに貼られているQRコードを読み取るとメニューが出てくるので、注文はそこからしてほしいとのこと。へぇ、時代はとうとう客個人のスマホを介するようになったか。
そりゃそうだ。チェーン系の酒場で導入する、あのタブレットって、相当のシステム料を支払っていると思う。あれは個々の酒場では導入できないだろうし、したところであまり意味のないものではある。けれど、お客のスマホを介せば、コストは一気に下がるはずだ。
ただ、おっさんとしては直接声をかけてオーダーしたいところだが、とりあえずやってみた。特段難しくなかったが、なんだか釈然としない思いもあった。
そこでオーダーしたのが、「羊の白センマイ刺」(605円)。ほう、ホルモンも羊か。それもまた珍しい。
きゅうりや白胡麻であえた一品。従来のセンマイ刺しとは見た目が違うが、うまい。ビールによく合う。
ただ「シノバズエールエール」についてはかなりがっかりした。とにかく若すぎるのである。これで商品としてよしなのか。それとも何かの間違いなのかは分からないが、正直なところ、これで商品になるのかという出来。いや、自分の不勉強なのかもしれず、もしかするとこういうヌーヴォっぽいのが流行っているのかもしれないが、少なくともこれほどまでにコクのないビールを自分はかつて飲んだことがなかった。
さて、どのタイミングで「ラムチョップ」をいただこうかとメニューを眺めていると、何と「ラムチョップ」ひとつの値段が500円だって。これって安くはない。その「ラムチョップ」は塩とタレがあるらしく、注文の際、さてどうしようか悩んだが、こうなったらもう両方頼んじゃえと2つオーダーした。
やがて、美人の女性が自分の席に現れ、「なんだ、なんだ、ナンパでもされるのか」と思っていたら(そんな訳はない)、どうやらこのお店のオーナーの方らしい。わざわざ、席まで来てご挨拶に訪れるとはと少し驚く。
ビールがなくなり、何を飲もうかと思案したが、これ!っていうのがなく、渋々選んだのが、「クエン酸レモンサワー」(600円)。今日は飲まず食わずで動きっぱなしだったから、疲労回復の意味を込めて「クエン酸」にしたのだ。
やがて「ラムチョップ」か運ばれてきた。焼いたことで肉が縮むのは分かるが、予想通り肉は小さくて、ちょっとがっかり。これで500円か。ただ「ラムチョップ」って、下味つけたり大変な工程だから、この値段も分からなくはない。でも、もっとリーズナブルに4,5本食べたいというのが本音ではある。
とちょっと悪態をつきたくなる。ただ、味は抜群にうまい。塩もタレもそれぞれ別の顔を持っていて、それぞれ楽しめる。個人的には塩の方が好きだった。
ただ、やはりドリンクも量が少ないのが気になる。
「ラムチョップ」は骨までしゃぶりつき、骨にかすかに張り付いた軟骨まできれいに食べたつもりだが、やはりはしたなかったか。さて、ここにいても腹は満たされない。腹いっぱい食べられる店へと移動しようか。お会計は2,985円。危うく3,000円台の大台を突破するところだった。
う〜む。リピートはないかな。
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