住宅街を外れると身近に榎(エノキ)の大木や若木が多くある
ことに気がつきます。
散歩コースの「エノキが丘」(私が命名)を歩いていたら、
携帯用の草刈機のような物をもった90歳近い老人に出会いました。
目の前のエノキを指してなぜ大切にしているか聞きました。
ところが老人はかなり耳が遠く、私の話がほとんど聞き取れない
ようでした。
エノキを切らないのはなぜですかと大声で聞き直したら、やっと話が
通じたのか、オオムラサキ(蝶)の幼虫の食樹だからと
教えてくれました。
オオムラサキの幼虫はエノキの落ち葉の裏に棲んで越冬し、
春になってエノキの若葉を食べることがわかりました。
この辺でオオムラサキを見たことはなく、エノキはオオムラサキの
食樹という言い伝えがいまも残っていることに好感をもちました。
帷子川沿いのエノキの大木にヒヨドリが声を出して集まっていました。
ここでは葉がほとんど落ちて褐色の小さな実がたくさんついているのが
肉眼でもよく見えました。
エノキの実は野鳥の好物でもあります。
家に帰って、あの老人からもっと話を聞きたかったなと思いました。