悲しみのようにひそかに
夏は去った
あまりにひそかに
ついには、裏切りとは思えぬほどに……
このような言葉で始まる、私の好きな詩がある。
そして、この詩のように、姉が逝った。
その死は、未だに私は現実として捉えられない。
多分一番に、そう思うのは姉自身かもしれない。
夏の初めに、姉の身体に頑固な病がみつかった。
何事にも前向きな姉は、冷静に病を受け入れて立ち向かっていったけれど…。
病気が分かる夏までは、これといった症状も無く、まったく元気そのものだった。
母を交え姉姪そして私の4人で、春には旅行に行き、我が家の犬を迎えに茨城のブリーダーさんを一緒に訪ねたり、本当に元気だった。
入院して約2ヶ月ちょっと、特別な治療も受けていたと言うのに、医師達も驚くほど進行が早かった。
まだまだ、死ぬには早すぎる年齢だ。
交友関係が広く、姉を慕ってくださった沢山の友人達は、一様にショックを隠せず
ぽっかり開いてしまった穴を、どう埋めていったらよいか分からないと言う。
私とすべて正反対の明るく素敵な、私の憧れの姉だった。
私は、まだ姉の死を受け入れられないが、思えば、姉は人生を太く短く、そして楽しく充実した人生だった。
どんなことでも、楽しさに変えて逆に面白がって受け入れることができる人だった。
今も新しい世界を面白がって、あちこち散策しているのかも。
そう思いながら、私は現実を受け入れていかなければならないのだろう。
明日はわからない、だから……そう日々思ってはいても、実際にことが身に起こってみて、更にその感を深くする。
まったく、結末は「謎」