【ローズゼラニウムの花】
昨夜のうちに降った雨は、
朝にはやんでいました。
アンではないけれど、こんな朝は、
空気がピカピカ光って綺麗です。
木や草花の葉っぱも、雨の雫の
宝石をまとって輝いていて・・。
昨日などは、もう真夏日でしたから
草花達は、こんな自然の恵み、
本当に嬉しいでしょうね。
そしてこちらは、今年初めての蜻蛉(トンボ)です。
ガーデンテーブルのレースの上に止まっていました。
去年などは結構、追いかけっこしましたのに、今年は随分慣れています。
でも蜻蛉って、こんなに早くやって来ましたっけ・・。
さて、前置きはこの位にして。昨日の続きです。
野の花は日本人にとって、
万葉の昔から慣れ親しんで来たようです。
まだ春の浅いうちから草摘みをした様子が、
様々な歌にも詠まれていますし、それらは“春の七草”として、
私達にもごく身近ですね。
昔から春の行事として大切にされて来た草摘みは、万葉集第1巻にも謳われています。
春独特の香りの苦味に薬効があるとされて来たのですね。
そして明治の文豪、幸田露伴。
彼も、草摘みを楽しんだようです。
その様子は、昭和3年に発表した随筆、『野道』 に詳しく書かれています。
露伴も草摘みに出掛けたのですが、どれが食べられる野草なのか見当も付かない。
仕方なく近くにあった葉っぱを口に持って行くと、同行者が慌てて打ち落としたのだとか。
それは、恐ろしい毒草だったそうです。その一端を万葉集と共にどうぞ!
「籠もよ╱み籠持ち╱掘串もよ╱み掘串持ち╱この丘に╱ 菜摘ます子╱家告らせ╱名のらさぬ╱そらみつ・・・」 ~万葉集巻第一 雑歌 |
・・・先生の言によると、それは タムシ草 と云って、 その葉や茎から出る汁を塗れば疥癬の虫さえ 死んでしまうという毒草だそうで、 食べるどころのものでは無い危いものだということであって、 自分も全く驚いてしまった。 こんな長閑気な仙人じみた閑遊の間にも、危険は、 伏在しているものかと、 今更ながら呆れざるを得なかった。 ~随筆 『野道』 より |
それにしましても、昨日の 「蔓日々草」 もそうでしたが、
普段私達が馴染み深いもので、思いもかけない毒草って、あるものですね。
「鈴蘭」 は知っていましたが、「クリスマスローズ」、
「カロライナ・ジャスミン」、「福寿草」 は、知りませんでした。
他には、「アルニカ」、「草の王(黄)(クサノオウ)」、「コルチカム」、「ジキタリス」、
「西洋走野老(セイヨウハシリドコロ)」、「朝鮮朝顔(チョウセンアサガオ)」、
「ヒヨス」、「ブラッドルート」、「毒人参(ドクニンジン)」、「洋種鳥兜(ヨウシュトリカブト)」、
「寄生木(ヤドリギ)」、「洋種山牛蒡(ヨウシュヤマゴボウ)」 等など・・。
「西洋走野老(セイヨウハシリドコロ)」 に至っては、食べると幻覚症状が出て、
走り回る事からこの名前が付けられたそうですね。どうぞ、お気を付け下さい。
ただ、これらの毒草も一般人には毒草であっても、強心剤や麻酔剤などの薬剤に、
なっているようです。毒にも薬にもなる・・という事ですね。
【注: ↑ 随筆 『野道』 の 「タムシ草」 は、「草の王(黄)」 の別名です。】