なるほど…
今頃になって、その事実に気づく。
(やはりアナウンサー試験には学閥のようなものがあったんだ…)
著者も何人ものアナウンサーを輩出している私大の放送研究会出身、
だから、その道に詳しいワケだ。
そういえば以前読んだ《メタモルフォシス》も、
アナウンサー試験を受ける女子大生の裏の顔を題材にしていたなぁ…。
私みたいに地方の音大出身で、しかも自衛官から局アナって言うのは普通はありえないんだよなぁ…。
たまたま四国のローカル局のニュースワイド担当アナが寿退社する直前だったし、
そんな切羽詰まった状況で、即応できそうな元自衛官である私の経歴を面白がった局の上層部が採ってくれたわけだ。
恐らく、自衛官からお笑いタレントになるのと同じくらい珍しいかも。
自分の《売り》って考えてみると、この変わった経歴だけだ。
思えば、この経歴のお陰で、おもしろい仕事もさせてもらった。
早い話が、放送研からアナウンサーを目指す学生には私のような者の話は全く役に立たない。
ついでに言えば学生時代も自衛官時代も、局アナに興味のなかった私のような人間が試験に受かること自体、普通はありえない。
だいいち局アナになって何がやりたいか?
と訊かれて満足に答えた記憶がない。
だが、それはきっと私だけではないはずだ。
この羽田圭介さんの《ワタクシハ》に出てくる女子学生は、
何が目的でアナウンサーになりたいのかが最後までわからない。
一般的にアナ志望の学生はスポーツ実況がやりたいとか報道番組のキャスターがやりたいとか、
音楽番組やお笑い番組のMCをやりたいとか…それなりの目的があるものだが…
この小説に出てくる学生のように、ただ漠然とアナウンサーになりたいと思う人や《就活記念》に受ける人もいるのは事実だ。
私もそう言う学生を何人か知ってはいるが、
残念ながら「受かりました」という朗報が届いたケースは少ない。
1人だけ大手生命保険会社に入社後、どうしても諦め切れずアナウンススクールに通っていたTさんだけは、
東海地方のTV局に受かった際、挨拶にきた事があった。
彼女の場合は夫がハッとしたほどの美貌も合格要因の1つだったのかも知れない。
そういえば彼女の出た大学も小説に出てくる《学閥》に入っている有名私大だ。
小説は理想と現実のギャップに悩む若者の心理を巧く表している。
それにしても…今さらではあるが、
どうして、こう私は自己PRがヘタなんだろう。
(−_−;)