⇒ こちら
前回は財務省が公表した「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」平成24年6月末実績に関する補足説明について述べた。H23年度末(24年3月末)実績とH24年度末(25年3月末)見込み、即ち1年間ベースでみると、次のようになります。
平成24年3月末実績 25年3月末見込
合 計 959.9兆円 1085.5兆円・・・・・+125.6兆円
国債、借入金他 843.1兆円 886.2兆円・・・・・・+43.1兆円
政府短期証券 116.8兆円 199.4兆円・・・・・・+82.6兆円 ⇒ 米国債
国債に関係する借金43兆円増は、国会の予算審議を経て決定されるものであり、一応問題性はない。だが、政府短期証券による借金増が財務省の裁量に任されているとすれば余りに問題が大き過ぎる。
消費税増税は財務省主導で、同法案は3党合意で無理やり通した。しかもこの一年間、野田首相は消費税増税のために「待ったなし、避けて通れない、このままではギリシャ化する、命をかける」とまで言ってきた。国民の中には、「日本は財政危機、国の借金が巨大に嵩んでいるので仕方がない」と思っている人が多い。
消費税率5%分は国の予算レベルで、せいぜい10兆円増程度である、その一方で80兆円を超える借金を増やす。1年分の国家予算額(H24年度予算は借金償還財源である国債費21.9兆円を除く純予算額は68.4兆円)を遥かに超える80兆円の金額が、公然と(秘かに?)某国へ流出するとしたら、この国は国家の体を成していない。財務省はもっと情報公開すべきである。
ついでながら、次の点も指摘しておく。
外貨準備等の状況(平成24年7月末現在)、外貨準備高は、127兆2777億ドル(訂正:1兆2728億ドル)である。この中で、金(ゴールド)保有量は24.60百万トロイオンス(765.06トン)、399.05億ドルで全体の3.1%に過ぎない。
金保有量24.60百万トロイオンス(765.06トン)はH13年5月以降今日まで10年以上も全く変わらない。H13年5月末時点での金額は65.81億ドル→H24年7月末399.05億ドルで、保有量は同じでも金額は6倍以上に跳ね上がっている。
国家資産のリスク分散の観点からみて、金(ゴールド)保有が最適なはずだが、財務省はそんな才覚もなければ、リスクヘッジという感覚もないままなのだ。ドル安による外貨準備高の数十兆円の目減りにも手を拱いたまま、ダンマリを決め込んでいる。
これも偏に、某国の圧力で金保有量も制限されているからという人もいるが、恐らく間違いではなかろう。日本経済の将来のために、何の役にもたたないマイナス効果しかない消費税増税で、日本経済は益々泥沼にはまり込んで行く。企業家であり経済に詳しいロムニー米大統領候補は「我々は日本とは違う。今後10年、100年かけて没落し、困難に苦しむ国にはならない」と述べた。ひょっとして彼は日本経済の首の絞め方をよくご存知なのかも知れない。竹島問題で大騒ぎしている場合ではないのだが・・・。